現在の年収に「満足している」人の割合は、世帯年収別で見るとどのような違いがあるのか? キャリア・転職に関するWebメディアを運営するスタジオテイル(東京都新宿区)は、現在の年収への満足度と年収アップへの取り組みについてアンケート調査を実施した。

 現在の年収に満足しているか尋ねたところ、「満足している」「少し満足している」と答えた人は、合わせて全体の33%にとどまった。とくに、「満足している」と回答した人は7%と、全体の中でも少数派という結果となった。

 一方、現在の年収が「少し不満」「不満」と答えた人は67%にのぼった。また、最も高い割合を占めたのは「少し不満」で、全体の41%という結果に。4割強の人が現状の年収に決して満足していないことが分かった。

●年収200万円未満は「満足している」0% 1000万円超でも約2割が「不満」

 世帯年収別の満足度を見ると、「満足している」と答えた人の割合が最も高かったのは年収1000万円超の世帯だった。一方で、年収1000万円超でも22%が「不満」としていることも分かった。

 また、年収200万円未満の世帯で「満足している」と回答した人は0%という結果に。年収に何らかの不満を抱いている人の割合は年収が上がるにつれて低くなっていくものの、500万〜800万円の年収帯では「少し不満」「不満」を合わせた割合にほとんど差が見られなかった。

●20代の7割超が「不満」

 年代別に見ると、現在の年収に「満足している」「少し満足している」と回答した人は40代以上の年代に比較的多いことが分かった。対して「少し不満」「不満」と答えた人は、20〜30代に多く見られ、20代は72%の人が現状の年収に不満を抱いていることが見受けられた。

 年収アップに向けて何らかの取り組みをしていると回答した人は74%と、現在の年収に「少し不満」「不満」と回答した人の割合(67%)を上回った。現在の年収に大きな不満がなくても、年収アップに向けて取り組んでいる人も多数いるとうかがえる結果になった。

 年収アップに向けた取り組みに対して、若い年代ほど積極的な傾向があり、とくに20代・30代で「年収アップに取り組んでいる」と答えた人は全体の76%に達した。世帯年収別では、取り組みに積極的な人の割合が最も高いのは世帯年収400万〜500万円という結果に。一方で、同社は「年収1000万円以上の世帯でも68%の人が年収アップに取り組んでいることから、『現状に不満がない=年収アップを目指さない』とはいい切れない」と分析している。

●年収アップのため、何をしている?

 年収アップのために具体的に取り組んでいることを尋ねると、最も多かった回答は「複業」(53%)で、次いで「資格の取得」(38%)、「スキルアップ」(31%)と続いた。一方で、「昇進・昇格への働きかけ」(18%)、「個人成績を伸ばす」(15%)、「上司との関係構築」(6%)など、現在の職場で評価をより高めるための試みをしている人も多数いることが分かった。

 世帯年収別に見ると、「複業」と回答した割合が最も高かったのは年収500万〜600万円の層であることが分かった。全体の傾向として年収が上がるにつれて「複業」の割合は減少傾向にあり、「スキルアップ」や「昇進・昇格への働きかけ」は年収の高まりに応じてやや増加傾向が見られた。

 「年収アップのために具体的な取り組みをしている」と答えた人からは、「本業での収入アップが見込めないため、副業で物販を始めました。まだまだ大きな年収アップにはつながっていませんが少しずつ収入が増えてきています。この収入を再投資して、さらに収入を増やすことを意識して、進めています」(30代男性公務員、世帯年収600万〜700万円)といったコメントが寄せられた。複業の具体的な仕事内容は、ポイ活やクラウドソーシング、ブログ運営、Webデザインなどが多く見られた。

 一方で、「年収アップの取り組みはしていない」とした人の意見で最も多かったものは「自分からの働きかけでは変わらない」(36%)だった。次いで、「現在の年収に満足している」(18%)、「プライベートの時間を大切にしたい」(13%)と続いた。プライベートの時間を犠牲にしてまで年収アップを図る必要はないと感じている人も少なからずいることが分かった。また、「行動イメージが湧かない」「必要性を感じない」「行動を起こす気になれない」といった回答を合わせると、全体の約27%に上る結果となった。

 過去に年収アップした際の要因について聞いたところ、最も多かった回答は「転職」(16%)だった。次いで「相応の成果を出したため」(15%)、「信頼を獲得したため」(12%)と続いた。年収アップに向けた取り組みに関する回答では「複業」「スキルアップ」が上位に位置してた一方で、実際に年収が上がった要因を見ると「複業」は7%、「スキルアップ」は4%にとどまる結果となった。

 調査は2月15〜25日に、会社に勤務している20〜50代の400人(男性:246人、女性:152人、その他:2人)を対象に実施した。