美容系総合ポータルサイト「@cosme」を運営するアイスタイル(東京都港区)は12月7日、「@cosmeベストコスメアワード2023」を発表した。同アワードは、この1年間に@cosmeに寄せられた口コミ投稿をベースに、消費者が実際に支持している商品をランキング化。コスメから生活用品まで全57部門ある受賞商品を見ると、あるブランドが多数を占めていることが分かる。コーセーが展開する「コスメデコルテ」だ。

 コスメデコルテは今回、全13商品28部門で受賞を果たした。1ブランドの受賞部門数としては、ベストコスメアワード24年間の歴史において史上最多となる。総合ランキングで2位と4位にランクインした他、スキンケアやベースメーク、メークアップなどさまざまなカテゴリーの商品が受賞した。

 アイスタイルのリサーチプランナーによれば、大きく躍進した要因の1つに、コスメデコルテの価格戦略があるという。

 コスメデコルテはデパコス(主にデパートで販売されるコスメ)と呼ばれる、高価格帯に分類されるブランドだ。しかし、受賞した各商品を見ると、1万円超えの諭吉コスメ(1万円札の福沢諭吉に由来する表現)である「リポソーム アドバンスト リペアクリーム」(総合2位)や、3000円以下の「アイグロウジェム スキンシャドウ」(ベスト単色アイシャドウ1位)など、幅広い価格帯の商品をそろえている。価格別賞でも「ハイプライス部門」「ミドルプライス部門」の両方で受賞しており、どちらの価格帯でも消費者の支持を獲得していることがうかがえる。

 5月、アイスタイルが@cosmeユーザーに実施した調査によると、コスメデコルテの好きな理由として「ちょうどいい高級感もある」「高級感もあり、でも手に届きやすい価格の商品もあるところ」といった声が多く寄せられた。「幅広い価格帯の商品ラインアップと、手に届くちょうどよい高級感を両立することで、若い世代から大人世代まで幅広い年代の支持を獲得。史上最多の受賞数へとつながったのではないか」(アイスタイル リサーチプランナー)

●大谷選手と他の大物アスリート、何が違う?

 もう1つの要因として挙げられるのが、米メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手だ。3月に、総合ランキング4位にランクインした美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」の広告モデルに大谷選手を起用したところ、売り上げが大幅に伸長。アイスタイルの旗艦店「@cosme TOKYO」では、広告起用前の2月と比較すると、売上数が3月は約1.4倍、4月は約1.5倍となった。

 また、コーセーの担当者によると、大谷選手の起用後、主要百貨店における男性の新規顧客はコスメデコルテ全体で前年同期比約4倍、リポソーム アドバンスト リペアセラムという商品単体では約7.5倍に増加したという。普段美容に関心のない人も含めて老若男女問わず「リポソームだけは知っている」「大谷選手が出てた紫の化粧品」という声が聴かれるほど、商品やブランドの認知度が拡大。まさに「大谷売れ」といえる現象が起きた。

 「大谷選手がInstagramに投稿したロッカールームの写真にコスメデコルテの商品が映っていました。このことから『実際に本人が使用している』と消費者の認知が拡大したのです」(アイスタイル リサーチプランナー)。CMやキャンペーンの効果だけではなく、「大谷選手が使用している」という“リアルさ”が、売り上げ拡大の大きな後押しになったのだ。

 他のブランドでも、大物アスリートを広告モデルに起用しているケースはあり、そのファンが「広告を見たから」と買いに来るケースは多い。しかし、今回の大谷売れのように「本人が使用している」という“リアルさ”をきっかけにした購買行動は、長年口コミを分析しているアイスタイルのリサーチプランナーから見ても珍しいという。

 数多くの商品がしのぎを削る化粧品業界で、急激に注目されるようになったコスメデコルテ。その勝因は、価格戦略と“リアルさ”の二刀流によるところが大きいといえるだろう。