ビジネスバッグなどを扱っているエース(東京都渋谷区)がちょっとユニークなバッグを発売した。商品名は「バフェクト」(2月21日に発売)。ビジネスパーソンが通勤などに使えて、ライブやイベントなどの推し活にも使えて。カタメとヤワメのシーンで使えるバッグは、どのような特徴があるのか。

 バフェクトは3種類を展開していて、最も大きい「ボックスリュック」(2万7500円)のほかに、「かぶせショルダー」(2万5300円)、「ボディバッグ」(1万9800円)がある。例えば、ボックスリュックの場合、大きな特徴は2つある。

 1つは、緩衝材が入った収納スペースと伸び縮みするラバーテープがあること。仕事で使うときには、PCやタブレット端末のほかに、束ねたコードなどを収納できるようにした。推し活で使うときには、イベントなどで手にした“戦利品”を保護するクリアケースのほかに、ペンライトが入るようにした。

 もう1つは、中身が見える透明素材のポケットを搭載したこと。仕事で使う際には見失いがちなモバイルバッテリーやイヤフォンなどを収納でき、推し活で使う際にはバッジやプロマイドなどを入れるスペースとなっている。

 このほかにも、ライブなどで床に置くことを想定して、汚れが拭き取りやすい「コーティング素材」を底面に採用。また、キーホルダーなどのグッズを装着できるリング形状のファスナーを設けた。推し活をするうえで、かゆいところに手が届く機能がたくさん搭載されているわけだが、なぜこのようなバッグを開発したのか。

 話は、3年ほど前にさかのぼる。エース社は2021年に、推し活女子に向けた通勤リュック「オタハピ」(1万5400円)を発売した。このカバンの特徴は、仕事と推し活のスペースを分けていること。仕事のときも、推し活のときにも使いたい――こうしたニーズをうまくすくったようだ。発売してからあっという間に完売して、追加生産に追われた。その後、機能を改良して、現在は第2弾を発売している。

 イベント会場などでオタハピのカバンを持っている女性が増えていき、X(旧Twitter)に「これいいなあ。欲しい」「男性用もつくって」といったコメントも。であれば男性版をつくろうとなって、「ビジネスと推し活」両方のシーンで使えるカバンの開発が進んでいった。

●現地調査を実施

 推し活を楽しんでいる人は、どんなファッションをしているのか。どんなモノを手にして、どんなカバンを持っているのか。いま何が人気なのかを知るために、サブカルの聖地・秋葉原とさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)に足を運んで、調査を行った。その結果について、開発メンバーの白石悠一郎さん(MD本部 MD計画部チーフ)が語った。

 「どのようなカバンを持っているのか。観察したところ、リュックサックを背負っている人が圧倒的に多かったですね。『トートバッグでもつくれないか』と考えたのですが、ビジネスと推し活の両方で使うには難しいと判断してあきらめました。また、クリアケースを持っている人も多かったので、ケースを入れるスペースをつくらなければいけないと思いました」

 バフェクトを見ると、デザインはシンプルである。プレスリリースには「スーツにもカジュアル服にも合わせやすいベーシックデザイン」と書かれているように、街中でこのカバンを背負っていても違和感を覚える人は少ないはず。なぜシンプルなデザインにしたのかというと、「自分は推し活をしている」ことをアピールする人もいれば、「自分だけで楽しみたい」という人もいる。開発にあたって、メンバーは「自分だけで楽しみたい」人に向けてつくることにした。

 「世に出ている推し活バッグには、外側が透明になっていて、他人がそのグッズ(バッジなど)を見れるようになっているモノがありますよね。ですが、バフェクトでは、見られないようにしました。なぜなら『グッズを見せたくない』『自分だけで楽しみたい』という人もいるので、商品開発にあたっては外側に出したくない人に向けてデザインや機能面などを考えていきました」(白石さん)

 ところで、商品名の「バフェクト」には、どのような意味があるのか。辞書で調べたところ、この言葉は掲載されていなかったので、どうやら造語のようである。

 「ゲームをしているとき、自分の攻撃力や防御力などが増すことを『バフ』と呼んでいますよね。一方、effect(エフェクト)という英単語があって、意味は『効果』や『効力』など。2つの言葉を掛け合わせて『バフェクト』という言葉をつくりました。カバンを持つことによって、その人の気分や行動力が上がればいいなあと思って、このネーミングを付けました」(白石さん)

(土肥義則)