ドン・キホーテの「方言Tシャツ」が好調だ。地元密着の取り組みとして数年前に青森県内の店舗で販売を開始したところ、反響が大きかったことから103店舗に拡大(2024年3月現在)。どういった経緯で生まれたのだろうか。同社の広報担当者に聞いた。

 方言Tシャツには、各地域で親しまれている方言がデザインされている。例えば、青森県内では「がっふぇ」「んだんだ」「もつけ」といった津軽弁Tシャツを1419円で販売していた(2023年のケース)。直近のケースだと、2024年5月29日にオープンする「ドン・キホーテ燕店」(新潟県燕市)において、方言Tシャツを県内で初めて取り扱う。

 方言Tシャツは青森県出身の従業員が中心となって企画・商品化したもの。ドンキの広報担当者は「お土産で売れれば良いな……というノリでつくった方言Tシャツでしたが、2023年7月ごろからSNSで20代の方を中心に『面白い』と話題になりました。地元メディアが注目し、新聞やテレビで紹介された結果、多くの県民の方々にご来店いただきました」と説明する。特に、地元愛の強い人に支持されているようだ。

 方言Tシャツは青森県、秋田県、宮城県、富山県、群馬県、栃木県、茨城県、大阪府、宮崎県、鹿児島県、沖縄県などで販売されている。全ての都道府県で展開しているわけではなく、原則的に地元限定の取り扱いとなっている。

 販売する店舗数が増えているだけでなく、1店舗当たりの売り上げも伸長。その結果、2024年3月の全体売り上げは、同年1月と比べて約170%と大幅に増加している。同価格帯のおもしろTシャツ(ユニークなコメントがデザインされているものなど)と比べても、売り上げは倍以上だという。

●売り上げだけではない“波及効果”も

 方言Tシャツを企画・販売することでさまざまな“波及効果”も生まれているようだ。広報担当者は「お客さまだけでなく従業員も地元愛が強いです。その場所に住んでいる人たちが密かに誇りに思っている、愛着がある、人とのつながりを感じられる商品を展開することで『このお店は自分たちのお店なんだ』とより強く感じてもらえると思い、販売しています」と説明する。

 青森県内の売り場を見ると「よぐきたねし」「ドンキ限定」といった躍動的なポップと一緒に方言Tシャツを陳列している。他の都道府県の店舗も、地元愛を感じさせるユニークな売り場を展開しているのが印象的だ。

 地元密着の取り組みとして誕生した方言Tシャツはどこまで支持を伸ばせるか。