「コメのサブスク」に人気集中 固定価格で安定供給、農家にも恩恵
ITmedia ビジネスオンライン6/20(金)8:10

「コメのサブスク」が話題だ
最近、コメの価格高騰に関するニュースが連日のように報じられています。備蓄米の放出で価格はある程度落ち着く可能性はあるものの、生産コストの高騰や供給量の減少という大きなトレンドは変わらず、長期的には価格上昇が続く見通しです。
また、コメの価格上昇が必ずしも農家の収入増につながらないという構造的な問題も浮き彫りとなっています。
こうした状況下で、秋田県大館市の農家「佐藤農園」が応援購入サイトMakuakeで始めたのが「コメのサブスク」という取り組みです。
●“コメが手に入るという安心感”を提供
コメのサブスクは、秋田産のあきたこまち5キロを2カ月に1度届けるという定期購入サービスです。プロジェクト開始から多くの反響を呼び、最終的に635人の支援者から2800万円を超える金額が集まりました(現在はプロジェクト終了)。
このプロジェクトの肝は、一定期間内であればコメを固定価格で購入できる“年間定額パス”を提供している点です。プロジェクトの実行者である佐藤仰喜氏は、取り組みを始めたきっかけについて「生活者がほしいのは“コメ”ではなく“コメが買える安心感”なのではないかと思った」と語ります。
食の選択肢が多様化した現代においても、日本人にとってコメは食卓の中心的存在です。コメの価格高騰に関する報道が相次いでいることからも、多くの家庭にとってコメが欠かせないものであることが分かります。
こうした状況において、「コメが買えるのか」「買えるとしたら、その価格はどの程度なのか」を気にせずに済むようにすることが、今回のプロジェクトの本質といえます。
●農家の収入増も目指す
農家である佐藤氏は、オーストラリアの大学を卒業後、外資系金融機関やビジネスマッチング企業を経て、家業に戻ったという異色のキャリアの持ち主です。
「農業に携わる中で、コメの価格を生産者以外の人に決められることに違和感を覚えました。現状のままではコメ農家が十分な利益を得るのは難しい。そう考え、生産者側が価格を決められ、コメ農家の方たちの収入が増えるような仕組みにしたいと思いました」と語ります。
Makuakeに寄せられた応援コメントでは「コメがきちんと手に入る安心感がある」「定額で助かる」といった声が目立ちます。加えて「農家の力になりたい」「日本の農業を応援したい」といったコメントも複数あり、苦しい状況にある農家を応援したい人が多いことが分かります。
●「直販力の弱さ」への解決策
コメのサブスクは、コメ農家が長年抱えてきた“直販力の弱さ”という構造的な課題に対し、解決の糸口をもたらす試みといえます。サブスクという形をとることで、農家はあらかじめ需要を把握できるようになり、長期的な視点で経営を行えるようになります。設備や栽培技術への投資を計画的に行えるようになることで、農業の持続可能性を高めることにもつながります。
今回の取り組みの背景には「生活者はコメ自体ではなく、コメが買えるという安心感がほしいのではないか」という洞察がありました。センセーショナルな話題であふれている時こそ、表面的な情報に踊らされず、「生活者が本当は何を求めているのか」という視点に立ち、それを会社の経営や業界の課題に結びつけて考える――。このプロジェクトには「ユーザーが本当に求めているものを分析し、提供する」というマーケティングの大事な視点が詰まっているといえるでしょう。
著者プロフィール:松岡宏治
株式会社マクアケ プロジェクト推進本部 執行役員
1992年生まれ。2015年早稲田大学卒業後、ITベンチャー企業を経て、2016年に株式会社マクアケへジョイン。マクアケ関西支社二人目の社員として、立ち上げに参画し事業拡大に貢献。その後福岡、名古屋、広島、金沢に拠点を立ち上げ、全地方拠点の管轄を務める。現在は東京本社でプロジェクト推進本部全体の管轄をしつつ、自らも各地方へ足を運んでいる。過去、国内メーカーのプロジェクトを中心に2000件以上のプロジェクトを担当。











