NTTドコモは5月12日、2020年度通期の連結決算を発表した。同社は2020年12月25日をもって株式の上場を廃止しているが、親会社であるNTT(日本電信電話)の連結決算発表に合わせて決算説明会を継続して開催している。

 2019年度と比べると、通信事業は減収増益、スマートライフ領域(非通信事業)は増収増益で、全体としては増収増益の決算となった。2021年度は、ahamoや「5Gギガホ プレミア」や「ギガホ プレミア」への移行が進むことで通信領域で減益を見込んでいるが、好調なスマートライフ領域での増益でカバーすることで、全体として増収増益を目指すという。

●5Gサービスは約309万契約に 2021年度は1000万契約を目指す

 ドコモは2020年3月25日から5G通信サービスの提供を開始している。2019年度通期決算説明会では、2020年度末(2021年3月末)までに254万2000契約を目指すとしていたが、実績は約309万1000契約(目標に対してプラス約54万9000契約)となった。特に2020年度第4四半期(2021年1〜3月)の契約数の伸長はいきおいが良く、後述するahamo(アハモ)もそれに貢献したものと思われる。

 2021年度は、エリアの拡大やネットワークのSA(スタンドアロン)化を図りつつ、1037万契約を目指すという。

ネットワーク投資は5G中心に

 5G契約の伸長を促進するには、5Gエリアの拡大も欠かせない。同社では2020年度末時点でSub-6(3.7GHz/4.5GHz帯)とミリ波(28GHz帯)で合わせて7100局の5G基地局を展開しているが、2021年度はこれを2万局に拡大して「速さと広さで他社を上回る」(井伊直之社長)ネットワークを構築しつつ、ネットワークのSA化を通してより高度な5Gサービスの提供を目指す。

 同社は、2021年度に5500億円の設備投資を行う計画だ。数値だけ見ると、前年度の実績比で約191億円の削減となる。「5Gへの投資が本格化するのに削減するの?」と思うかもしれないが、削減は主にLTE(Xi)に対する設備投資の効率化と、3G(FOMA)から5Gへの基地局シフトによって進めるという。

●ahamoは100万契約を突破

 5Gサービスの契約数増にも貢献したと思われるahamoだが、3月26日のサービス開始から4月30日までの1カ月と4日間で100万契約を突破したという。契約者のうち、同サービスがターゲットとする30代以下のユーザーは50%を超えており、ドコモへの「復帰」を含むMNP契約者も一定数いるとのことだ。

 同社では、4月単月でのMNP契約が転入超過になったという。井伊社長は「この(ahamoの)料金なら戻ってもいいと考えるお客さま(元ユーザー)がいらっしゃるのでは」と理由を分析する。ドコモの既存契約者の中でも、ギガライト/5Gギガライトからahamoへのアップセルや、ギガホ/5Gギガホからahamoへのダウンセルが発生しているといい、料金プランの「リバランス」(井伊社長)も進んでいるようだ。

より低廉なプランは「MVNOと交渉中」

 ただ、現状のドコモには、データ通信量のあまり多くないユーザー向けの料金プランがない。この点について、ドコモは2020年12月の段階で「Economy(小容量)プランについてはMVNOとの連携を軸に検討を進めている」としていた。

 このEconomyプランについては、引き続き複数のMVNOと連携に向けた交渉を継続しており、準備が整い次第発表するという。「何をもって『連携』とするのか?」という問題もある。この点について、報道関係者向けの決算説明会での質疑応答では以下のようなやりとりがあった。

―― Economyの料金について「複数のMVNOと交渉している」という話がありました。当初は(2021年)3月から提供する予定だったと記憶しているのですが、進捗(しんちょく)が遅れている理由と、(MVNOと連携して提供する)料金プランのイメージを教えていただけますか。

井伊社長 今まさに、複数のMVNOと交渉を進めており、どのような形で提供するのか検討を進めている所なので詳細はあまり話せないのですが、思った以上に調整に時間を要しています。 私たちとしては、単に「安いプラン」を出すだけではなく、dポイントの会員基盤になっていただけないかとお願いをしているので、その辺の諸条件をしっかりと詰めないと(Economyプランは)始められないということです。 Economyプランは、元々「データ容量は使わないけれど、なるべく安い料金で使いたい」お客さまに向けたプランとして考えていました。なのでプランの料金自体はMVNO自身に決めてもらう形になると思います。その上で、私たち(ドコモ)はチャネルとして、あるいはdポイントの会員(となった当該MVNOサービスのユーザー)をサポートするという形でコラボレーションしていきたいと考えています。

 このように、ドコモとしてはdポイント(と、そのベースとなるdアカウント)における連携を軸とし、プラン設定そのものは連携先のMVNOに任せるという形態となりそうだ。

ahamoの有料サポートは「ユーザーのデジタル化支援」

 ahamoといえば、4月22日からドコモショップで申し込みと手続きを有償(1回3300円)で受け付けることも話題となった。これは、先行して提供し始めた端末とアプリの設定の有償サポートと合わせてユーザーのデジタル化を店頭でサポートするという取り組みの一環だという。

 ドコモではデジタルチャネルの拡充を進める一方で、店頭やコールセンター(ドコモインフォメーションセンターなど)でもデジタル技術の活用も促進している。オンラインとオフラインを融合する施策を進めることで、総合的なユーザー満足度を高めていく方針だ。