既報の通り、NTTドコモは2月10日にFCNT製スマートフォン「arrows N F-51C」を発売する。ドコモオンラインショップでの税/送料込みの販売価格は9万8780円で、「いつでもカエドキプログラム」を使って2年間利用して返却(下取り)した場合の負担額は4万9940円となる。
FCNTは2月7日、同機種の説明会を東京都内で開催した。会場には製品版と同等の実機が展示されていたので、それを使ってこのモデルの特徴を簡単に紹介する。
●リサイクルを意識してあえて“薄手”としたパッケージ
arrows Nは環境配慮型製品としての性質が強い。それはユーザーが初めて手にするパッケージにも現れている。
パッケージ(個装箱)はFSC(Forest Stewardship Council)による認証を受けたミックス紙を利用している。スマホの一般的なパッケージは厚紙(ボール紙)を使うことが多いが、「リサイクルのしやすさを重視して、あえて薄手の紙を使ったパッケージ作りにチャレンジした」(FCNT担当者)という。
また、パッケージへの印字もバイオマスインキを使うことで再資源化をしやすくしている。
●本体重量の67%は「リサイクル素材」
パッケージ裏面にも記載のある通り、arrows Nの本体重量(約171g)の67%はリサイクル素材に由来している。重量ベースの具体的なリサイクル率は以下の通りだ。
・アルミフレーム:100%
・リアパネル(プラスチック):約64%
・スロットキャップ(プラスチック):約50%
・内部のプラスチック部材:約20〜50%
一般的に、バージン素材(原材料から作った新品の素材)と比べると、リサイクル素材は強度を始めとする品質に劣る傾向にある。しかし、FCNTは部材メーカーと協力することで、従来モデルと同等の強度(MIL-STD-810Hに定める23項目の耐環境/耐衝撃性能)、防水性能(IPX5/8等級)と防塵(じん)性能(IP6X)を確保することに成功している。
加えて、arrows Nのボディーは「泡ハンドソープ洗浄」や「アルコール除菌」を想定したものとなっている。本体の丸洗いや消毒も安心して行える。
●メリハリの効いたスペック
arrows Nは、SoC(System-on-a-Chip)としてQualcomm製の「Snapdragon 695 5G」を採用している。Snapdragon 600シリーズはミドルハイレンジ端末向けのSoCで、国内メーカーではシャープの「AQUOS wish2」なども採用している。
「Snapdragon 690シリーズ」は通常8nmプロセスで作られているが、このSnapdragon 695 5Gは6nmプロセスで作られている。一般的に、同じ性能や機能を持つSoCを作る場合、プロセスが細かいほど消費電力を抑えられるので、消費電力の抑制につながっている。
ディスプレイはフルHD+(1080×2400ピクセル)の約6.24型有機ELを採用している。この有機ELディスプレイはSamusung Electronics(サムスン電子)子会社のSamsung Display製で、最大120Hzのリフレッシュレートに対応する(120Hz表示は要設定)。また、ドイツTUV Rheinland(テュフ・ラインランド)によるブルーライトカット認証「Eye Safe」も取得している。
なお、ディスプレイのインカメラ周辺部にはパンチホール(穴)が開けられている。最近はパンチホール付きディスプレイも当たり前となったが、気になる人は購入前にしっかりとチェックすることをお勧めしたい。
カメラはアウト側がデュアル(二眼)、イン側がシングル(一眼)構成となっている。それぞれの主要なスペックは以下の通りだ。
・アウトカメラ
・広角(メイン):約5030万画素(1/1.5型)/デュアルPDAF対応/F1.88
・超広角:約810万画素(1/4型)/AF対応/F2.2
インカメラ:約1240万画素(1/3型)/F2.24
特にメインとなる広角カメラは「arrows NX9 F-52A」と比べてセンサーサイズが約1.65倍となった。一般的に、カメラセンサーは大きいほど集光能力が高くなり、暗い場所での画質を向上しやすくなる。薄暗い場所でもよりキレイな写真を撮れるようになったことは歓迎すべきことだろう。
なお、動画の撮影はフルHD(1920×1080ピクセル)が最大解像度となる。SoCのスペックによる制限なのだが、少し残念である。
インカメラは顔認証にも対応している。arrowsといえば「Iris Passport(虹彩認証)」を思い出す人もいると思うが、残念ながらarrows Nの顔認証は、仕組みの都合で虹彩認証ほどの精密さはない。
しかし、FCNT独自の実装として顔認証と指紋認証の両方をパスしないと画面ロックを解除できない「ダブル認証」を用意している。これを利用すると、単純な指紋認証よりも高精度な画面ロックを実現可能だ。
なお、アドビとの協業は、arrows Nでも引き続き行われる。その一環として、このモデルには以下のアドビ製アプリがプリインストールされる。
・Photoshop Express(純正カメラアプリとの連携にも対応)
・Adobe Acrobat
・Adobe Scan(純正カメラアプリとの連携にも対応)
・Adobe Express
・Lightroom
●Qnovoの技術を採用した充電制御
外部接続端子はUSB 3.2 Gen 2(USB 3.1)Type-C端子で、USB PD(Power Delivery) 2.0規格の急速充電にも対応する。イヤフォンマイク端子は備えないので、有線で音声出力をしたい場合は、USB Audio規格に準拠するイヤフォンマイク、またはDACを接続する必要がある。映像出力は、Wi-Fi(無線LAN)経由の「Miracast」のみ利用可能だ。
無線通信はWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)とBluetooth 5.1に対応する。Bluetoothオーディオ(A2DP)で利用できるコーデックは以下の通りで、ワイヤレスハイレゾオーディオにも対応できる。
・SBC
・AAC
・aptX/aptX HD/aptX Adaptive
・LDAC
バッテリーの定格容量は4600mAhで、先述の通りUSB PD 2.0規格の急速充電に対応している。arrows NではFCNT製スマートフォンとしては初めてQnovoのバッテリー充電制御技術を適用している。バッテリーモジュールの寿命の予測にも対応しているが、予測表示をするにはサイクルカウント(※1)を「150」以上にする必要がある。
充電回りで少し面白い機能としては「電力オフピーク充電」というものがある。これはその名の通り電力消費のピークになる時間を避けて充電を行う機能で、指定した「オフピーク時間」以外の時間に充電をしようとすると「オフピーク時間に充電してください」という旨を表示できるようになっている(※2)。その表示内容に同意すると、ピーク時間を過ぎるまで充電を抑止するようになっている。
(※1)バッテリーの満容量分の充電を行うと「1サイクル」(※2)画面がオフまたはロック中の場合、あるいはダイアログの表示中は充電が行われる(ダイアログの内容に同意しないと充電はストップしない)
●arrowsならではの便利機能も
リブランドされたとはいえ、arrows Nはarrowsである。特定のアプリを“非表示”とすることでプライバシーを守る「プライバシーモード」や、画面の端部をスワイプすると利用できる「スライドインランチャー」など、FCNT独自の便利機能も多数備えている。先述の顔と指紋のデュアル認証は、その1つとして新たに加わる新機能である。
とはいえ、arrows Nのメーカー独自機能は非常に豊富で、探しきれない(気付かない)可能性もある。そこで活用したいのがプリインストールされている「arrowsオススメ機能」だ。
arrowsオススメ機能自体は、従来のarrowsにも搭載されているが、どちらかというと「独自機能の一覧」という感じだった。arrows Nでは、機能をより探しやすいように冒頭に目的別のインデックスが表示されるようになった。もちろん、概要説明から機能個別の説明
どのような便利機能があるのか知りたい人は、arrowsオススメ機能を開いてみることをお勧めしたい。