5月19〜20日の2日間、東京・水道橋の東京ドームシティ・プリズムホールにて「BICYCLE CITY EXPO 2021〜自転車まちづくり博〜」が開催され、自転車を中心としたモビリティの最新製品が集った。

 BICYCLE CITY EXPOは自転車雑誌を出版しているライジング出版(東京都千代田区)が主催のイベント。シェアサイクル、チケットレス駐輪場システム、カーゴバイク、帽子としか見えないヘルメットなど、今後のモビリティ、自転車市場の可能性を伺える車両や設備、アクセサリーなどが展示されていた。

 その中でも注目したいのが電動モーターを使ったマイクロモビリティ。自動車より小さなサイズで小回りが効く、機動力の高い乗り物だ。現在の日本では電動キックボードをはじめとしたマイクロモビリティを用いて道路交通法の改正を視野にいれた公道実証実験などを行っており、展開によっては一般的に浸透する可能性がある。

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 マイクロモビリティは電動アシスト自転車の代わりに、半径数km圏内の移動手段となりうるのか。今後注目されそうなBICYCLE CITY EXPO 2021に展示された、現時点で公道走行可能な車両や設備を見ていきたい。

●エンジンのくびきから解き放たれたデザインの電動バイク・eBikeR B1

 リアホイールに収まるモーターのパワーは2000W。最高時速70km、後続距離60kmの「eBikeR B1」(36万800円)。パワフルだが車重は100kgで、ガソリンエンジンを積んだ50ccスクーターよりも重い。60V 20Ahのバッテリーだけでもかなりの重さとなっているのではないだろうか。

 エンジンがないためにスッキリとしたデザインだが、ハンドル、ホイール、シートの位置関係は既存のバイクと似通っており、アップライトなポジションでまとまっている。前後の油圧ブレーキやウインカー、ホーンのスイッチ周りにはバイク用のパーツが使われている。

●SUVっぽさを感じる両輪駆動の電動キックボード・eBikeR X1

 華奢(きゃしゃ)な印象のホビーユースなモデルと異なり、全身から質実剛健なイメージを受ける「eBikeR X1」(33万8800円)。鉄板を重ね合わせたようなエクステリアはむしろ無骨といってもいいくらいだ。

 しかし、デザイン以上にインパクトを受けるのがパワーだ。前後輪の両方2500Wというハイパワーなインホイールモーターを採用。最高時速70km、航続距離60kmのポテンシャルを持つ。

 ゼロ発進時からトルクを引き出せる電動モーターの性質と、未舗装道でのトラクションのかかりが良さそうなタイヤの組み合わせは、豪快な走りが楽しめそう。会場内で少しだけ試乗したのだが、シートがない電動キックボードという構造もあって、身体が置いていかれるような加速感があった。

●パワフルなZERO 10X、可搬性に優れるZERO 9

 似たようなデザイン&カラーリングだが、狙いの方向性が明らかに違うのがSWALLOWの電動キックボード。前後に小型とはいえサスペンションを備えた「ZERO 9」(11万9800円)のポテンシャルは最高時速40km、航続距離は40kmまで。折りたたみ時に運びやすいキャスター+キャリーハンドルや、輪行が可能になるバッグ、ノーパンクタイヤなどのオプションも豊富に取りそろえている。ややマイルドな加速感で、日常使いに適した車両。価格も比較的安価だ。

 対して「ZERO 10X」(26万9800円)は、前後輪駆動のデュアルモータータイプ。最高時速50km・航続距離60kmとパワフルで、サスペンションのストローク量も多い。ブレーキも強力だ。試乗時の印象はコーナリングの安定性が高く、長距離移動したくなる魅力を持っていた。両輪駆動ゆえ、坂道や雨の日でも安定して走れるはずだ。

●シニアカーも折りたためる時代に・NOAA MOBILE-X

 運転免許を返納したシニア世代をメインターゲットとしているのが、折りたたみ電動カートの「NOAA MOBILE-X」(33万8000円)。免許なし、ナンバープレートなしで歩道が走れるシニアカーのコンパクト版といえる。車道走行は想定しておらず、最高時速は6km。早歩きほどのスピードとなる。

 道路交通法では「原動機を用いる身体障害者用の車いす」という枠組みに入るものだが、今後の道交法改正に向けた警察庁の有識者検討会の中間発表によれば、「歩道通行車」という新しい車両区分を検討しているという。

 同車の最大の特徴は折りたたみ構造であること。慣れれば10秒ほどで変形させることが可能だ。航続距離は12?と短いが、車両を開発したNOAAはタクシー会社と連携し、NOAA MOBILE-X所有者の自宅から商業地までNOAA MOBILE-Xと所有者を一緒運ぶ環境を目指している。

●ナンバープレートを隠すことで普通自転車となる「モビチェン」

 電動バイク、電動キックボードを開発してきたglafit(グラフィット)は、車道も歩道も自転車道も走れるモビリティ「モビチェン」(市販価格未定)を展示していた。

 ナンバープレートが付く車両は人力のみで動かす場合であっても歩道・自転車道の走行は禁じられているが、同社は新技術等実証制度を用いて新たな取り組みにチャレンジ。バッテリーが切れた際は普通自転車として扱える仕様となるように作り込んでいる。

 プロトタイプには、折りたたみ式のナンバープレートカバーが備わっている。このカバーは電動バイクの状態から、シートに座ったまま動かすことはできない。車両を降り、モーターの電源を切り、ナンバープレートカバーを固定しているボタンを押して、レバーを上げる必要がある。

 なおモビチェンのベースとなった電動バイク「GFR-02」は、電動モーターでは登れない急坂でもペダルをこぐことで登坂力を高められるハイブリッドモードを盛り込んでいる。いわば電動バイクの人力アシストといえよう。

(武者良太)