「Google Workspace」のリーダー、ハビエル・ソルテロさんが6月30日、7月15日付でGoogleを辞めるとツイートしました。

 ファンだったので残念です。なぜファンだったかというと、Googleの伝統とも言える「似たようなアプリが複数併存していてよくわからん」状態をかなり整理整頓してくれてきたからです。

 ソルテロさんがGoogleに入ったのは2019年。それも、自分でツイートで発表しました(現在そのツイートは本人によって削除されてます。だから今回は記事にはリンクだけではなく画像も貼りました)。

 ソルテロさんはメールアプリを立ち上げた起業家でしたが、2014年にこのアプリ企業ごとMicrosoftに買収され、Outlook関連の改善で大活躍。その後「じゃあ、Cortanaもなんとかして」と頼まれたけれど、その後すぐMicrosoftを辞めてしまいました。

 Googleは、ソルテロさんのOutlook改善の手腕に目をつけてスカウトしたのでしょう。Googleでは最初、オフィススイート「G Suite」(元「Google Apps」で、現在の「Google Workspace」のことです)の改善を任されました。

 まずは「Hangouts Meet/Chat」を「Google Meet/Chat」に改称したり、無料版「Google Meet」を立ち上げたりしました。そして、G Suiteとコミュニケーションサービスは切り離せないということで、2020年5月には「メッセージ」「Duo」「電話」の面倒も見はじめました。これで、ソルテロさんがGmail、Google Meet、Google Chat、Google Duo、ハングアウト、メッセージ、電話を全部統括するようになりました。

 7月にはG Suite版のGmailの画面からMeetとChatを起動できるようにしました。そして、10月には「G Suite」を「Google Workspace」にリブランド。

 Workspaceの改善についてはぶっちゃけあまりピンときませんが(だって、GmailからChatやMeetを起動すること、自分はないので)、一番の功績は、コミュニケーションサービスの統廃合だと思います。

 以前この連載「Googleさん」でも触れましたが、ハングアウトとGoogle MeetとDuoはいったいどう使い分ければいいのか、ハングアウトとGoogle Meetはどう違うのか、などがもやっとしていました。

 ハングアウトの終了の話はソルテロさん入社前からあったようですが、ソルテロさんはまず、終了までのタイムラインを発表し、じりじりと実行していきました。

 ハングアウトが完全に終了するのは、当初の予定より大幅に遅れ、今年の11月です。でも、6月末にそれを発表した時点で、ソルテロさんは一区切りついたと思っているんじゃないかな。

 ソルテロさんは6月にもう1つ、DuoとMeetの統合計画も発表しています。ちょっとアクロバティックな統合方法(記事を参照してください)で、ソルテロさんの苦労がうかがえます。こちらの方が達成感がありそうです。

●まだまだ整頓してほしいものはあるんだけど……

 これで、Google Workspaceで使うコミュニケーションツールはGoogle MeetとGoogleチャットの2つにすっきり……と思ったら「スペース」というのもあります。

 これ、誰が使っているんだろう。できればこれもソルテロさんに統合してほしかった。

 それから、できればGoogleチャットと「メッセージ」も統合してほしかった。でも、この2つ(日本以外だとこれにさらに「Google Voice」という通話サービスもある)はバックエンドプロトコルが全然違うので、統合はほぼ無理なんでしょう。

 なにはともあれ、ハングアウトとDuoを消滅させてくれただけでもソルテロさんの混沌整理の功績は大きいです。お疲れ様でした。

 ソルテロさん、ツイートでは「次はまだ決めていないけど、ぼくは起業家だから」と言ってますが、また大手から助っ人を頼まれちゃうかもしれません。

 混沌整理といえば、Google I/Oで「Google Wallet」が発表されました。Googleのモバイル決済関連もやはり紆余曲折あって、Google Wallet(先代)やAndroid Pay、Google PayなどがごちゃごちゃしていたのをなんとかGoogle Walletにまとめたのは、2020年にPayPalから来たビル・レディさんでした。こちらの整理は2年半かかっての軟着陸。日本でも提供するようですが、果たして便利に使えるでしょうか。目処がついたところでレディさんは退社し、PinterestのCEOに就任しました。

 社内で似たようなサービスが複数立ち上がるのは、可能性の芽を摘まないというIT大手の余裕のお陰でメリットもあるのでしょうが、その後始末は大変。開発したチームから反感を買うだろうし、使っていたユーザーを切り捨てることになるし。疲れ果てた優秀な人材が出ていってしまう要因の1つなのかも。そのうちAIがサービスの統廃合を冷酷に決めていくようになるのかな。

※この記事は、Googleの動向をゆるく追いかける連載「Googleさん」のコラムです。