eスポーツ事業などを手掛けるBrave group(東京都港区)は6月24日、運営するVTuberプロジェクト「ぶいすぽっ!」の英語圏向けプロジェクト「VSPO! EN」を展開すると発表した。30日以降、同プロジェクトから3人のVTuberが順次デビューするという。

 VSPO! ENからデビューするのは、Remia Aotsuki(青月 レミア)さんとArya Kuroha(黒刃 アリヤ)さん、Jira Jisaki(地崎 ジラ)さんの3人。Brave groupは「ぶいすぽっ!のプロジェクトビジョンを日本だけでなく世界中の国・地域へ広げ、伝えていきたい」と表明している。

 ぶいすぽっ!は、ゲーム好きVTuberたちがeスポーツの魅力を発信していくプロジェクト。VTuberとしての配信活動やeスポーツ大会への出場の他、アニメや漫画などのメディアミックス展開も行っている。VSPO! ENでも、eスポーツを共通言語にしてプロジェクトを展開していくとしている。

●VTuber海外市場の動向は?

 VTuber事業の海外進出を巡っては、大手VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバーもさらなる事業成長のため注力し始めている。2020年ごろから英語圏向けプロジェクト「ホロライブEnglish」を展開しており、24年3月には初の海外拠点として「COVER USA」の設立を発表していた。

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 カバーが1月に開催したVTuber市場に関する報道陣向け勉強会では、同社の谷郷元昭CEOはグローバルでVTuberが受け入れられやすい環境が整ってきたと指摘。「スマートフォンの普及や5Gの増加で手軽に動画を視聴できる環境が構築され、SVODでの世界配信などで日本発のアニメが国内外で人気を博し、アニメ市場規模が拡大している」とその要因を挙げていた。

 カバーの24年3月期決算説明資料によると海外売上高は、23年3月期で47億5000万円だったものが、24年3月期には75億5300万円まで成長。「アニメ文化がある国を中心にVTuberを若者世代のカルチャーに昇華させ、国や世代を越えていくグローバルコンテンツ市場に浸透していく」と方針を掲げており、まずはアニメ市場の浸透率が高い北米とアジア地域を重視し、展開していくと述べている。

 また、同じく大手VTuber事務所「にじさんじ」を運営するANYCOLORも、海外グループ「NIJISANJI EN」を展開中だ。しかし、24年4月期のNIJISANJI ENの売り上げは右肩下がりで推移。2月には、所属VTuberの契約解除に関する株主向け発表文書が炎上し、同社の田角陸CEOが謝罪動画を公開する事態なども起こった。

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 24年4月期の決算説明会でも「海外成長戦略、特に英語圏でのテコ入れ策を教えてください」という質問があったという。この質問に対して田角CEOはユーザーとの信頼関係を構築するため、3Dモデルの披露や音楽コンテンツ、ARライブなど、ユーザーを魅了できるようなコンテンツ作りの強化していくと説明していた。

 「収益面では、やはりいろいろな国や地域、文化圏にお客さまがいるため、これまで国内で販売してきた施策と違った施策も行っていく必要がある。販売経路の拡大という意味でも、販売するクライアントの獲得という意味でも、国内で行ってきた手法と少し異なる手法で、テコ入れしていく」(田角CEO)

 矢野経済研究所の調査によると、にじさんじとホロライブを支持するファン層は他事務所よりも抜きん出て多いという。一方、次点にはぶいすぽっ!や、viviON(東京都千代田区)がプロデュースするVTuberグループ「あおぎり高校」が続いている。

 24日現在、あおぎり高校からは英語圏向けプロジェクトの発足などは確認できていないが、ぶいすぽっ!の海外展開を皮切りに、他VTuber事務所も続いていくのか。今後の動向に注目したい。