ASUS JAPANのゲーミングノートPC「ASUS TUF Gaming F17 (2022)」は、17.3型ディスプレイを採用するクラムシェルスタイルのゲーミングノートPCだ。

 2022年8月現在、TUF Gaming F17 (2022)はCPUにCore i7-12700H、GPUにGeForce RTX 3070 Laptopを備える1モデル(FX707ZR-I7R3070)のみが用意されている。直販価格は24万9800円だ。この記事では、このモデルをじっくりチェックしていく。

●「TUF」の名前からも分かる重量感

 ASUSのゲーミング製品は、大きく分けると「ROG(Republic of Gamers)」と「TUF」の2ブランドで展開されている。TUFは「タフ」と読むのだが、その呼び方からも分かる通り、当初は製品としての丈夫さを重視したビジネス(フィールドワーク)向けPCのブランドだった。

 TUFブランドのノートPCは、安定動作を重視した定格設定と、高耐久パーツを採用することで“ミリタリーグレード”の丈夫さを確保していた。同ブランドから派生した「TUF Gaming」はその流れをくんでおり、質実剛健かつエントリークラスのゲーミングノートPCとして世に登場した。ROGブランド(というより台湾メーカー)のゲーミングノートPCがオーバークロックなどを通してギリギリにチューニングして、ベンチマークテストのスコアでパフォーマンスを訴求する傾向にあるのとは対照的な位置付けともいえる。

 現在、TUFブランドのビジネスモデルに新モデルは登場していない。一方で、TUF Gamingブランドは“ミリタリーグレード”の丈夫さをゲーミングユーザーに訴求するものとして存続している。

 TUF Gaming F17 (2022)の天板カラーは、鋳物をイメージしたMECHA GRAY(メカグレー)で、重量感がある。その四隅には、金具留めをイメージしたモールドを配することで“工業製品”であることを強調している。

●ディスプレイも質実剛健だがゲーミングスペック

 ディスプレイは17.3型液晶で、最大解像度はフルHD(1920×1080ドット)となる。パネルは非光沢タイプだ。

 見栄えを重視する傾向にあるゲーミングノートPCでは光沢パネルを採用する製品も少なくないが、周囲の環境光がパネルに反射して視認性に影響することも多い。見栄えよりもゲームプレイを重視するなら、非光沢タイプのパネルを選びたい。そういう意味で、TUF Gaming F17 (2022)のディスプレイは“質実剛健”だ 。

 ちなみに、この液晶パネルのリフレッシュレートは最大144Hzで、Adaptive Syncにも対応している。この点は“しっかりと”ゲーミングモデルらしい配慮がなされている。汎用(はんよう)的なノートPC用液晶パネルと比べると、動きのあるコンテンツを滑らかに再生可能だ。

 Webカメラは約92万画素のもセンサーを搭載しており、HD(1280×720ピクセル)での撮影に対応する。

●必要十分なポート類

 本体に搭載するポート類は、USB 3.2 Gen 2 Type-C端子、USB 3.2 Gen 1 Type-A端子×2、Thunderbolt 4端子という構成だ。映像出力としてHDMI端子を1基、音声入出力としてイヤフォン/マイクコンボ端子も備えている。ゲーミングノートPCでは欠かせない有線LAN(1000BASE-T)端子も搭載している。

 USB 3.2 Gen 2 Type-C端子とThunderbolt 4端子はDisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応している。一方で、USB PD(Power Delivery)による電源入力には対応しない。電源供給は付属のACアダプター(200W出力)で行う必要がある。

 無線接続はWi-Fi 6(IEEE802.11ax)とBluetooth 5.1を利用可能だ。

●打ちやすいキーボード 「テンキー」「WASDキー」が気になることも

 キーボードはテンキー付きの日本語配列で、フルカラーLEDバックライトも備えている。キーピッチは実測で約19mm(キートップサイズは16.5mm)、キーストロークは約1.7mmを確保している。

 最近の海外メーカーのノートPCでは、コスト削減の一環でキーボードの形状を「米国英語(US)」「ヨーロッパ」「日本語」の3種類で極力近づける傾向にある。このTUF Gaming F17 (2022)のキーボードも例外でなく、「Back Space」キーと「¥」キー、「Enter」キーと「」」キー、右側の「Shift」キーと「バックスラッシュ」キーは、USキーボードなら1つのキーが収まるはずの枠に2つを詰め込んでいる。打ちづらさは感じない(むしろ打ちやすい)のだが、キー形状の“美しさ”を重視する人は、とても気になってしまうかもしれない。

 右側にあるテンキーは、思った以上に文字キーと近接している上に、キーピッチもほぼ変わらない。そのためEnterキーやBack Spaceキーを押すつもりがテンキーをたたきそうになってしまうことが幾度もあった。慣れるまでは、ちょっと気を付けないといけないかもしれない。

 文字キーのうち、ゲームプレイにおいて操作キーとして多用される「W」「A」「S」「D」キーはクリアパーツを使ったスケルトンキーとなっている。先述の通り、TUF Gaming F17 (2022)のキーにはフルカラーLEDが組み込まれているが、消灯中もWASDキーが“目立つ”格好になっている。

 このカラーリングのおかげで、ゲームプレイ中は視界の端でもWASDキーの場所は把握しやすい。一方で、文章入力などでキータイプしていると、このWASD必要以上に「他とは違う特別な何かが起こりそうなキー」と認識してしまい、変に力が入ってしまう傾向があった。端的にいうと、文章入力の滑らかさがそがれてしまい、文章を考えるリズムが乱れてしまったのだ。ここはキーに求める要素によって感想が変わってくるのかもしれない。

 TUF Gaming F17 (2022)のキーボードには、ボリュームキーとマイクミュートキーが“独立した”キーとして用意されている。ゲームプレイ(特にボイスチャットが重要なFPSチーム戦など)では意外と多用するキーだけに、Fnキーとのコンビネーションなしに使えることはありがたい。

●ベンチマークテストで実力をチェック!

 ここからは、TUF Gaming F17 (2022)の実力をベンチマークテストを通してチェックしていこう。先述の通り、2022年8月現在におけるTUF Gaming F17 (2022)は1モデルのみ用意されているが、その主な仕様は以下の通りだ。

・CPU:Core i7-12700H(消費電力は45〜115W)

・パフォーマンスコア(Pコア):6コア12スレッド(最大4.7GHz)

・効率コア(Eコア):8コア8スレッド(最大3.5GHz)

GPU:GeForce RTX 3070 Laptop(グラフィックスメモリは8GB、Optimus対応)

メインメモリ:16GB(DDR5-4800規格、デュアルチャネル構成)

SSD:512GB(PCI Express接続)

 今回は、比較対象としてCore i7-11800H(8コア16スレッド、最大4.6GHz)、メインメモリ16GB(DDR4-3200規格、デュアルチャネル構成)、GeForce RTX 3070 Laptopを搭載する「GPUは同じ、CPUはグレードがやや上だけれど1世代前」というゲーミングノートPCを用意している。

CINEBENCH R23

 3Dレンダリングを通してCPUのパフォーマンスをチェックする「CINEBENCH R23」の結果は以下の通りとなった。

・TUF Gaming F17

・マルチコア:1万8155ポイント

・シングルコア:1752ポイント

比較対象

・マルチコア:1万77ポイント

・シングルコア:1515ポイント

 Eコアが増えた分だけ、マルチコアスコアの伸びが大きい。シングルコアのスコアも少しだが向上している。

PCMark 10

 続けて、PCの総合ベンチマークテストアプリ「PCMark 10」の結果を見ていこう。「Essentials」は日常使い、「Productivity」はビジネスにおける生産性、「Digital Content Creation」は静止画や動画といったマルチメディアコンテンツの制作能力をチェックするテストだ。特にDigital Content CreationはCPUやGPUの性能差がスコア差につながりやすい。

 結果は以下の通りとなった。

・TUF Gaming F17

・総合:5875ポイント

・Essentials:8878ポイント

・Productivity:5932ポイント

・Digital Content Creation:1万454ポイント

比較対象

・総合:7047ポイント

・Essentials:1万232ポイント

・Productivity:9211ポイント

・Digital Content Creation:1万77ポイント

 ProductivityとDigital Content Creationのスコアが伸びている反面、Essentialsのスコアが落ち込んでしまい、その影響で総合スコアが振るわない。

 他のPCのレビュー記事にあるベンチマークテストを見ると、第12世代Coreプロセッサを搭載するモデルは、Essentialsの成績が思うほどに伸びないことがある。PコアとEコアのハイブリッド構成が何らかの影響を及ぼしているのだろうか……?

3DMark(Time Spy)

 3Dグラフィックスのパフォーマンスをテストするベンチマークテストアプリ「3DMark」では、WQHD(2560×1440ピクセル)の描画をDirectX 12 APIでテストする「Time Spy」を実行した。総合スコアは以下の通りだ。

・TUF Gaming F17:1万761ポイント

・比較対象:1万49ポイント

 同じGPUだけあって、スコアの差はそれほどでもない。CPUのシングルコア性能が少しだけ向上した分、スコアも少しだけ伸びた格好だ。

FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク

 実際のゲームをベースとするベンチマークテストとして、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(FF15ベンチマーク)」も試してみよう。いずれもフルHD(1920×1080ピクセル)のフルスクリーン描画で、設定をカスタムして最も負荷が高くなるように設定した。結果は以下の通りだ。

・TUF Gaming F17

・FF14ベンチマーク:1万8093ポイント(とても快適)

・FF15ベンチマーク:4413ポイント(普通)

比較対象

・FF14ベンチマーク:1万6752(とても快適)

・FF15ベンチマーク:4526(やや快適)

 FF15ベンチマークで少しポイントを落としている所は気になるが、フルHDゲーミングには十分な性能を備えているといえるだろう。

CrystalDiskMark 8.0.4

 TUF Gaming F17(2022)では、ストレージの読み書き速度をチェックするアプリ「CrystalDiskMark 8.0.4」SSDのでシーケンシャル(連続した)データの読み書きのスピードをチェックした。この個体には「Intel SSD 670p(SSDPEKNU512GZ)」が搭載されている。結果は以下の通りだ。

TUF Gaming F17

・シーケンシャルリード(Seq1M Q8T1):毎秒3009.19MB

・シーケンシャルライト(Seq1M Q8T1):毎秒1674.15MB

 読み書き共に、公称値(読み出し毎秒3000MB/書き込み毎秒1600MB)を少し上回る結果となった。普段使いでは十分に満足できる速度といえる。

●冷却機構はかなりしっかりとしている

 ゲーミングノートPCということで、TUF Gaming F17(2022)には5本のヒートシンクと2基のファンを組み込んだ強力なクーラーユニットを備えている。ファンは84ブレードと羽数を多くして、風切り音を“和らげる”工夫が施されている。

 加えて、ROGシリーズでも導入されているシステム設定ユーティリティー「Armoury Crate」をプリインストールし、CPUやGPU、システムメモリの駆動電圧や動作クロック、ファン回転数の制御も可能にしている。ユーザーが望むなら、ファンの回転数を落として静かな状況で動かすことも可能だ。ちなみに、Armoury Crateのプリセットにも動作クロックを下げてファン回転数を落としても安定動作させる「サイレント」モードが用意されている。

 サイレントモードがあるとはいえ、静かに使いたいなら静かに使える省電力ノートPCを使えばいい。ゲーミングノートPCを使うなら“ガシガシガンガンパワフル”に使わないと意味がない。TUF Gaming F15だってビジネス用アプリを行儀よく使うことより重たいゲームアプリを“ガオン!”と使うことを重視しているはず、とキーボードの「ASDW」キーを見たときに確信した(個人の感想です)。

 ということで、Armoury Crateのプリセットを「Turbo」モードにした“最もやかましい”状況で、3DMark(Night Raid)を実行し、CPU TESTの1分経過時において、Fキー、Jキー、パームレスト左側、パームレスト左側、底面のそれぞれを非接触タイプ温度計で測定した表面温度と、騒音計で測定した音圧の値は次のようになった。

・表面温度(Fキー):35.5度

・表面温度(Jキー):40.5度

・表面温度(パームレスト左側):25.9度

・表面温度(パームレスト右側):25.8度

・表面温度(底面):39.6度

・発生音:54.5dBA(暗騒音37.5dBA)

 ファンが発する風切り音は50dBAをはるかに超えて、実際に聞いていても「おっとこれはさすがにちょっと」と思うほどに“ごうごう”とうなっていた。ただ、そのおかげかもしれないが、表面温度は常識的な範囲に収まっている。

 「J」キーが40度台となった他は、総じて体温より低い。Jキーなどキーボードの“右手圏”もほんのりと温かいと感じる程度ですんでいる。よく冷えているといえるだろう。

●ミリタリー風ゲーミングノートPCは“アリ”

 「TOUGHBOOK」「G'zOne」「TORQUE」など、“硬いモノ”好きの筆者は、TUFもその仲間という認識で長年関心を寄せてきた。その意味で考えると、丈夫さを「ミリタリー風味のアイコン」と利用しているTUF Gamingは、それまでのTUFとは別モノといえる。

 しかし、それはそれとして、TUF Gaming F17(2022)は、キーボードのギミックやArmoury Crateなど、ゲーミングノートPCとして“適切に”成り立っている。

 さらに付け加えるならば、画面の動きが激しいゲームではデバイスの扱いも連動して“物理的に全力”で扱う傾向にある。そんなユーザーにとって、丈夫さを訴求するTUF Gaming F17(2022)は魅力的な選択肢と映るかもしれない。