日本マイクロソフトは10月3日、新型ノートPC「Surface Laptop Studio 2」「Surface Laptop Go 3」を発売した。個人向けモデルの直販価格(税込み、以下同)は、Surface Laptop Studio 2が33万6380円から、Surface Laptop Go 3が14万2780円からとなる。

 発売に合わせて、同社は報道関係者向けに新製品説明会を開催した。配信が始まったAIエージェント「Microsoft Copilot」を含むオプション更新を意識して、今回リリースされた全モデルにはオンデバイスAI処理を高速化するための仕組みが何らかの形で搭載されているという。

 この記事では、法人専用向けモデルとしてリリースされる「Surface Go 4」(直販価格8万6680円から)と合わせて、新製品の特徴を改めて紹介する。

●AIプロセッサを搭載する「Surface Laptop Studio 2」

 Surface Laptop Studio 2は、クリエイター向けの2in1ノートPCである「Surface Laptop Studio」の後継製品となる。

 一見すると、普通のクラムシェルタイプのノートPCに見えるが、ディスプレイにフリップヒンジが組み込まれており、これを反転させることでディスプレイ内蔵型ペンタブレットのように使えるという発想は、先代と変わらない。

 ディスプレイは約14.4型のPixelSense Flow(液晶)パネルで、タッチ操作とペン入力に対応する。WebカメラはフルHD(1920×1080ピクセル)撮影と顔認証に対応する「Surface Studio カメラ」を備える。

 CPUは最新のCore i7-13700H(Pコア6基12スレッド+Eコア8基8スレッド)で、エントリーモデルを除いてNVIDIAの最新GPUも別途内蔵する。CPUだけでなく外部GPUもパワフルなので、冷却機構にはかなり力を入れており、基部のパームレスト付近には大きめの冷却ファンが左右1基ずつ付いている。

 メモリ(LPDDR5X規格)とSSD(PCI Express 4.0接続)の容量、外部GPUの組み合わせは以下の通りだ。

・個人向けモデル(Windows 11 Home+Microsoft Office Home and Business 2021)

・16GBメモリ+512GB SSD(外部GPUなし)

・16GBメモリ+512GB SSD+GeForce RTX 4050 Laptop

・32GBメモリ+1TB SSD+GeForce RTX 4050 Laptop

・64GBメモリ+1TB SSD+GeForce RTX 4060 Laptop

・32GBメモリ+1TB SSD+NVIDA RTX 2000 Ada Generation Laptop

法人向けモデル(Windows 11 Pro)

・32GBメモリ+1TB SSD+GeForce RTX 4050 Laptop

・64GBメモリ+1TB SSD+GeForce RTX 4060 Laptop

・64GBメモリ+2TB SSD+GeForce RTX 4060 Laptop

 本機のユニークなポイントとして、CPUや外部GPUとは別にIntelのVPU(AIプロセッサ)である「Movidius 3700VC」も搭載している。これにより、Webカメラにおいて「Windows Studio Effects」を利用できる他、本VPUを利用できるアプリにおける処理パフォーマンスが大きく向上する。

 今回の説明会では、実際にPhotoshopの生成拡張や生成塗りつぶしを使うデモンストレーションが行われた。筆者が普段使っている「ThinkPad X13 Gen 3」(Core i7-1280P搭載)と比べると、外部GPUを搭載していることもあってか、これらの生成AI作業が“一瞬”といっていいくらいのスピードで進んでいくことが印象的だった。

 ポート類は左側面にUSB 3.2 Gen 2 Standard-A端子とThunderbolt 4(USB4)端子×2を、右側面にmicroSDメモリーカードリーダー、イヤフォンマイク端子とSurface Connect端子を備える。Thunderbolt 4端子はUSB PD(Power Delivery)による電源入力と、DisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応する。

 先代は拡張ポートがThunderbolt 4端子しかなかったが、「(本機の主な顧客である)クリエイターからのフィードバックを踏まえて」、本機ではUSB 3.2 Standard-A端子とmicroSDメモリーカードスロットが追加された。USB Type-Cだけでは困る、というシーンはまだまだ多いようだ。

 学生層やビジネス層を意識した「Surface Laptop Go」や「Surface Go」も、モデルチェンジが行われた。

●手頃な価格で学生を意識した「Surface Laptop Go 3」

 Surface Laptop Go 3は、エントリークラスのクラムシェルモデル「Surface Laptop Go」の第3世代モデルとなる。基本的には先代のパワーアップモデルという位置付けで、セージ、アイスブルー、サンドストーン、プラチナの4色を用意していることも変わりない。

 先代はカラーによって選べるスペックに違いがあったが、個人向けモデルはどのカラーも2種類のスペックから選ぶようになった。一方、法人向けモデルはプラチナ1色のみとなり、4種類のスペックから選択するようになっている。

 ディスプレイは12.4型PixelSense(液晶)で、タッチ操作やペン入力に対応する。解像度は1536×1024ピクセル(アスペクト比3:2)だ。

 CPUはCore i5-1235U(Pコア2基4スレッド+Eコア8基8スレッド)で、メモリ(LPDDR5規格)とストレージの構成は以下のオプションが用意されている。

・個人向けモデル(Windows 11 Home+Microsoft Office Home and Business 2021)

・8GBメモリ+256GB SSD

・16GBメモリ+256GB SSD

法人向けモデル(Windows 11 Pro)

・8GBメモリ+128GB UFS(指紋センサーなし)

・8GBメモリ+256GB SSD

・16GBメモリ+256GB SSD

・16GBメモリ+512GB SSD

 「CPUが1世代前ではないか?」という人もいるかもしれないが、“Go”の付くSurfaceはコストパフォーマンスを重視しているため、あえて1世代前のものとしているようだ。また、先代が搭載していたCore i5-1135G7(4コア8スレッド)と比べてスレッド数が増えた(8スレッド→12スレッド)ことと、個人モデルでは最大メモリ容量が2倍(8GB→16GB)となったことから、パフォーマンスは最大で約1.88倍と着実に向上しているという。

 ポート類は、左側面にUSB 3.2 Gen 2 Standard-A端子、USB 3.2 Gen 2 Type-C端子とイヤフォン/マイクコンボジャックを、右側面にはSurface Connect端子を備える。USB 3.2 Gen 2 Type-C端子はUSB PDによる電源入力と、DisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応する。このあたりの仕様は先代と同様だ。

 キーボードの電源ボタンには、法人向けのエントリー構成を除き、Windows Hello対応の指紋センサーが統合されている。電源を入れる操作でサッとログインできることも魅力だ。

●まずは法人専用モデルとして登場した「Surface Go 4」

 Surface Go 4は、Surfaceブランドのメインストリームである、デタッチャブル(キーボード着脱)式の2in1タブレットのエントリー製品「Surface Go」の第4世代モデルだ。先代のデザインを踏襲しつつ、CPUやメモリといったプラットフォームを刷新したモデルとなる。

 ディスプレイは約10.5型のPixelSenseで、タッチ操作とペン入力に対応する。解像度は1920×1280ピクセル(アスペクト比3:2)だ。

 今回、本モデルは法人専用の「Surface Go 4 for Business」(Windows 11 Proプリインストール)として投入された。わざわざ“for Business”と付けたということは、今後個人向けにも展開される可能性もあるが、現時点で決まったことはないという。

 CPUはIntel Processor N200(最大3.7GHz/4コア4スレッド)を搭載している。N200は第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)の高効率コア(Eコアのみ)のみを搭載した廉価版となる。

 ただし、Eコアといってもスレッドパフォーマンスは「第6世代Coreプロセッサ(開発コード名:Skylake)とおおむね同等」とされているので、極端に遅いわけではない。また、GPUコア(Xe-LPアーキテクチャ)のGNA(Gaussian & Neural Accelerator)やAV1のハードウェアデコーダーなどは搭載されており、処理内容によってはより高速な動作を期待できる。

 メモリは8GB(LPDDR5規格)で、ストレージは64GB、128GB、256GB(いずれもUFS規格)から選択可能だ。

 ポート類は、右側面にUSB 3.1 Gen 2 Type-C端子、イヤフォン/マイクコンボジャックとSurface Connect端子を、キックスタンドの下部にはmicroSDメモリーカードスロットを備えている。SB 3.2 Gen 2 Type-C端子はUSB PDによる電源入力と、DisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応する。