「Essential屋外用カメラ(第2世代)」は、Arloブランドの家庭向けネットワークカメラのうち、屋外設置に対応した製品だ。防水/防じん機能を備え、バッテリーによる駆動に対応したこの製品について、メーカーから製品を借用したので、レビューをお届けする。

●壁面に設置する屋外専用モデル 充電はケーブルで行う

 まずは、外観から見ていこう。本製品は前回紹介した屋内カメラと同世代の製品だが、より丸みが強調されたカプセル状のデザインが特徴だ。前回の屋内カメラが卓上と壁面のどちらにも設置できたのに対し、本製品は壁面設置のみで、ネジ穴が開いているのも背面だけだ。ちなみに、視野角は対角130度とされている。

 バッテリーは内蔵式で、充電はUSB Type-Cケーブルで行う。本製品を屋外に設置したままケーブルをつないで充電することは現実的には考えにくく、本体を取り外して宅内に持ち込んでの充電になるだろう。ダウンタイムができると困る場合は、オプションで用意されているソーラーパネルの追加を検討するとよい。

 防水/防じん性能については「耐候性:あり」とのみ書かれており、IP65やIP55といった等級については明示されていない。屋外専用モデルということで相応の耐水性があるはずだが、このあたりがはっきり書かれていないのは少々引っかかる。Arlo製品はこうした点がちょくちょくあるので、国内で展開するにあたっては見直してほしい部分と感じる。

 実際に設置してみて気になったのは、壁面への取り付けにおいて、簡単に取り外せてしまうことだ。本製品はまず壁面にプレートをねじ止めし、そこに本体背面のマウントをスライドさせて取り付ける仕組みだが、取り付け後に逆向きにスライドさせると本体を簡単に外せてしまう。構造を知っていればほんの一瞬だ。

 本製品は前述のように充電時には取り外す必要があるため、それを容易にするという意味ではプラスなのだが、本製品の競合に当たるRingのライト付き屋外カメラが、スライドさせて取り付けた後に盗難を防ぐため、さらにネジ止めするのとは対照的だ。後述するが、有料プランの中に盗難補償の項目が見当たらないのも、RingやGoogle Nestと比べるとマイナスとなる。

●セットアップは簡単で3つのモードを切り替えて運用

 セットアップについては、本体の上部にあるペアリングボタンを押すことで、アプリから認識され、続いてカメラの名前の入力などを行うことで、一通りの機能は使えるようになる。設置の時間を除けば、ほんの10分程度しかかからない。

 ただし、この時点ではマイクやスピーカーなどの音声回りの設定、アクティビティーゾーンの設定、さらに電源回りの設定は行われていない。これら全てをセットアップの過程で行う製品に比べ、まずはとにかく使ってみたい場合に適しているが、本製品の機能を十分に生かせるよう、これら追加設定は必ず行っておきたい。

 なお、アプリは3つのモードを切り替えて利用する。具体的には「スタンバイ」「通常警戒」「特別警戒」の3つで、在宅している時はスタンバイ、外出中は通常警戒もしくは特別警戒という使い分けになる。

 これらは前回紹介した屋内カメラなど、同じArloアプリで管理するカメラやドアベルと一括でオン/オフを切り替える仕組みになっている。AmazonのRingシリーズとよく似た使い勝手だ。

●ライトも内蔵するなど高機能

 では実際に使ってみよう。本製品は屋外用だが、今回のスクリーンショットは場所の関係で主に屋内(和室)で撮影を行っているのでご了承いただきたい。

 機能としては一般的な屋外向けモーションカメラそのもので、リアルタイムの映像を見られる他、アクティビティーの検知を有効にしておけば、範囲内に人物や乗り物が入った時点で通知され、同時に録画も行われる(前述の有料プラン「Arlo Secure」が必要。以下同じ)。

 また夜間撮影機能も搭載するのに加え、スポットライトも内蔵しており、リモートで被写体を照らすこともできる。スポットライトを利用可能なのは、屋外カメラとしての本製品の売りの一つだ。

 さて他社のカメラではあまり見かけない機能として、友達に通報する機能が挙げられる。これはカメラ画面の右上にあるシールドマークをタップすることにより、あらかじめ登録した友達にすばやく電話できるという機能だ。

 例えば、遠隔地から自宅の様子をカメラ経由で見ていて、何らかの異常を発見した場合、この機能を使って近くに住んでいる友達に電話をかけ、代わりに見に行ってもらうという使い方が可能だ。また屋外での異常を、家の中にいる家族に知らせるという用途にも使える。Arlo製品を導入したら試してみたい機能の1つだ。

●アクティビティゾーンは長方形のみ指定可能

 機能面で気になったのは、アクティビティゾーンが長方形でしか指定できないことだ。最近の家庭向けネットワークカメラに搭載されている同様の機能では、道路を斜め方向から映したり、玄関口を見下ろすアングルで映したりする必要があることから、複雑な多角形が設定できるのが一般的になりつつある。

 しかし、本製品は範囲こそ最大5つまで設定できるものの、形状が長方形だけなので、斜め方向からのアングルや、奥行きのあるアングルでは、正確に範囲を指定できない。これら範囲をきめ細かに指定しておけば、アプリの無駄な通知を減らし、カメラ自体のバッテリーも長持ちさせられるが、本製品はこの点においては不利だ。

 特に屋内用ならまだしも屋外用カメラは設置場所が制限され、やむを得ず道路などに対して斜め方向に設置しなくてはいけない場合も多いので、どうしても不便に感じられる。RingやGoogleから乗り換えた場合、この点は真っ先に気になることだろう。

 一方、動体検知そのものは試した限りでは取りこぼしも少なく、信頼性は高い。今回の試用にあたっては、それまで設置していたSwitchBotの屋外カメラと交換したのだが、SwitchBotでは頻繁に起こっていた、間違いなく通過したはずの人物や車が記録されていないミスが、1カ月ほど試用した限りではほとんど起こらなかった。24時間365日録画でないとはいえ、このあたりは頼もしい。

 多少気になったのは、録画した映像の明るさが一定していない場合があることだ。例えばモーション検知では、数回に1回の頻度で、録画開始時に画面がハレーションを起こしたように真っ白になり、そこから徐々に正しい映像へと戻っていく現象が起こる。夜間撮影ではこれとは逆に、再生が始まって最初の1〜2秒は全体が暗く、その後に全体的に白っぽくなる、といった挙動が目立つ。

 前回紹介した同社の屋内カメラでも、夜間撮影では途中でレベル補正がかかったように明暗が変化し、それまで見えていた暗所のディティールがつぶれて見えなくなることがあったが、それとはまた異なる症状だ。何らかの省電力設定が邪魔をしているのかと思い探してみたが、それらしい項目は見当たらなかった。撮影そのものはできているのだが、他社のカメラにない症状だけに少し気になった。

●本製品を選びたくなる何らかのプラスαがほしい

 以上のように、ちょくちょく首をひねりたくなる挙動はあるのだが、機能自体は豊富に用意されている。他社の同等品の利用経験があると、不安定に感じることは少なからずあるはずだが、「こういうものか」と思って使えばそれほど問題はないだろう。

 一方で、アクティビティゾーンが長方形でしか指定できなかったり、録画データの明るさが一定しなかったりと、そもそも機能が欠落していたり、不安定さがみられる点については、長期間使い込んでいくにつれて、使いづらいと感じる原因になる可能性はある。アップデートで修正されるのを期待しつつ、現時点では注意しておきたいところだ。

 実売価格については、他社と比較して割高だった前回の屋内カメラと異なり、本製品は1万7980円(税込み、以下同様)と、ライト搭載の「Ring Spotlight Cam Plus」(2万4980円)と、ライトなしの「Ring Stick Up Cam Battery」(1万1980円)のほぼ中間にあたる。機能的にはちょうど中間なので、価格競争力は十分にあるといっていい。

 一方で気になるのは有料のSecureプランで、カメラ台数無制限のプランが、Ringは月350円なのに対して、このArloは月999円。細かいサービスに違いがあるため一概に比較はできないが、RingはもちろんGoogleでも用意されているカメラの盗難補償サービスがArloには見当たらないのはマイナスだ。このあたりが納得できるのであれば、屋外カメラを選ぶに当たっての選択肢に加えておきたい製品だ。