NHK連続テレビ小説「虎に翼」の第64話が27日、放送され、劇中に“ブルースの女王”こと、歌手の茨田りつ子(菊地凛子)が登場した。前作「ブギウギ」(2023年度後期放送)との異例のコラボレーションに視聴者が沸き、X(旧ツイッター)では「茨田りつ子」「虎に翼」「ブギウギ」などがトレンドに入った。

日本初の女性弁護士で、のちに裁判官になった三淵嘉子さんの人生をもとにした物語を描く朝ドラ「虎に翼」。一方、「ブギウギ」は戦後の大スターで「ブギの女王」として人気を博した歌手、笠置シヅ子さんをモデルに、主人公の福来スズ子(趣里)が多くの困難を乗り越えて歌手の道を突き進み、人々に勇気と希望を与えていく姿を描いた。りつ子は実在したブルース歌手、淡谷のり子さんをモチーフにしたキャラクター。スズ子の頼れる先輩であると同時に互いに刺激し合って同時代を駆け抜けたライバル、盟友でもあり、抜群の存在感で多くの視聴者を楽しませてきた。

「虎に翼」は現在、第13週「女房は掃きだめから拾え?」(第61〜65話)が放送されており、昭和24(1949)年4月、ヒロインの佐田寅子(伊藤沙莉)が、家庭裁判所の広報のために企画された「愛のコンサート」に出演してくれる歌手探しに奔走。この日の放送で、最高裁秘書課長の“ライアン”こと久藤頼安(沢村一樹)の驚くべき人脈でりつ子のコンサート出演が決定した。りつ子は家裁のポスターモデルも快く引き受け、街には彼女と子供が並ぶポスターが大々的に貼られた。

スズ子と寅子はともに大正3年(1914)生まれの同い年。「虎に翼」の第1話(4月1日放送)では、寅子がスズ子がかつて所属していたUSK(梅丸少女歌劇団)について言及するなど、2人が同じ世界線にいることが視聴者の間で話題になっていた。さらに第13週は、劇中に「コロンコロンレコード」「東京ブギウギ」「福来スズ子」といった「ブギウギ」に関連するキーワードが頻出し、「愛のコンサート」にスズ子が登場するのではという期待の声がSNSにあふれていた。そんななか、この日のオープニングクレジットに「茨田りつ子」の名が表示され、ダークホース的に登場したりつ子に朝ドラファンは大興奮。「福来スズ子じゃなくて茨田りつこかい!?」「まさかの茨田りつこ登場! すご!」「やばい! がち茨田りつこ!」などのコメントが続々と寄せられた。

大河ドラマでは豊臣秀吉を演じた緒形拳さんや竹中直人、徳川家康を演じた津川雅彦さん、前田利家を演じた唐沢寿明など、同じ俳優が別のドラマで同じ役を再度演じることも珍しくない。また、大河「新選組!」(04年)の土方歳三(山本耕史)が朝ドラ「あさが来た」(15年度後期)に現れたり、逆に「あさが来た」の五代友厚(ディーン・フジオカ)が大河「青天を衝け」(21年)に登場するなど、大河と朝ドラのコラボはあったが、過去に放送された朝ドラの主要キャラが、そのまま別の朝ドラに登場することは異例で、「ブギウギとのコラボ、すごい!」「鳥肌」「ブギウギから続いて出るなんて初じゃない?」「作品をまたいで登場?!」「本気でりつ子さん出してきた」「こんなことってあるんだ!」「前作と繋がってる世界線!」「ありがとう朝ドラクロスオーバー!」と驚く書き込みも少なくなかった。