安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部

【まとめ】

・実子との面会を求める仏人男性フィショ氏のハンスト18日目を迎える。

・氏の支援団体が妻の代理人に公開書簡を発出。

・仏政府に圧力かけるキャンペーンサイト、25,000筆を超えた。

 

2018年の8月10日、妻が子どもを連れて家を出てから、3年余り。2人の実子との面会を求めて来た仏人男性ヴィンセント・フィショ氏のハンガーストライキは、27日に18日目を迎えた。

24日には仏マクロン大統領と菅首相が会談し、日仏共同声明が出され、「領事協力」として、「両国は、子の利益を最優先として、対話を強化することをコミットする」との文言が盛り込まれた。

しかし、マクロン大統領は既に3年前の2019年、G20サミットの時にも、当時の安倍晋三首相にこの問題を提起している。にもかかわらず、その後進展はない。今回の共同声明の一文をもって、日仏両政府が速やかに問題解決に動くとは考えにくい。

そうした中、27日、「子供の権利のためのハンガー・ストライキ支援事務局」は、フィショ氏の妻の代理人である弁護士宛に公開書簡を出した。

書簡は、「本人の子への愛情は強く、子に再会するまではハンガー・ストライキを続けるとのことです。このままゆきますと不測の事態も可能性としては考えられると思われます」とした上で、「最悪の事態が起こる前に、二人の子供たちをJR千駄ヶ谷駅に連れて本人に再会させること」を依頼している。

妻の代理人にはJapan In-depthも、フィショ氏のハンストを受け、協議する予定があるかどうか、問い合わせたが今日までに回答はない。

一方、オンラインキャンペーンサイトのChage.orgでは、「ヴィンセント[ヴァンサン]・フィショと2018年8月10日に日本で不当に誘拐された彼の子供たちとの再会のために」と題し、フランス政府に問題解決のために動くよう圧力をかける署名を集めている。27日時点で25,000筆を超えている。

署名は以下を求めている

・私たちは、フランス共和国大統領および政府に対し、人権および国際 条約の尊重を定めた日欧戦略的パートナーシップ協定の第2条に違反 しているとして、フランスの同協定への加盟を直ちに停止するよう要 請します。

・また、日本の親に拉致された子供たちの事件を、フランスが国際司法 裁判所に直ちに提訴することを求めます。

・最後に、私たちは、フランスがこの問題に関して同意していないこと を証明するために、駐日大使を呼び戻すことを求めます。

フィショ氏の子ども達に会いたい、という意志は強く、体力がもつ限りハンストを続けるものと思われるが、それにも限界があろう。連日30度超の猛暑の中、氏の体力は限界に近づいている。

日本の大手メディアは連日オリンピック報道に沸き立っているが、この問題をほとんど報じていない。この問題は1夫婦の個別の問題ではなく、同じように離婚後子どもに会えない苦しみを味わっている人が数え切れないほどいる。日本社会が真正面から向き合わなければいけない問題だ。だからこそ、政府もこの「こどもの連れ去り」問題と、それに関わる「共同親権」問題を協議しているのだ。

子どもの利益を第一に考えねばならないことは論を待たない。全ての当時者は何をすべきなのか、今一度原点に立ち返り、人道的見地から行動を起こしてもらいたい。

子ども達から親を奪ってはならない。

トップ写真:ヴィンセント・フィショ氏(2021年7月27日)Ⓒ永里耕一