「がんばれ」より「無理をしないで」と言える社会を

(篠原 信:農業研究者)

 阪神大震災が起きた後、クローズアップされた言葉がある。「がんばれ」だ。

 当時、被災者の皆さんは、復興に向けて必死の努力をしていた。睡眠を削り、必死に働き。それでも見通しの立たない生活。周囲はみんな「がんばれ」「がんばって」と声をかけてくれる。

 でも、これ以上どうやってがんばれと言うの? ろくに眠る時間もないのに、もう体が壊れそうになのに、まだがんばらなきゃいけないの? がんばっても生活がよくなる見込みもないのに、どうしてがんばらなきゃいけないの?

「がんばれ」という励ましの言葉が、被災者の心を追い詰めると指摘され、私は大いに戸惑ったものだ。

「がんばれ」「がんばって」と声をかける人は明らかに悪意で言っているのではない。励ましたいという純粋な思いで、口をついて出てくる言葉だ。それが被災者を苦しめているなんて。私以外にも、「いやでも、じゃあどう声をかけたらいいのだろう?」と、悩む人は多かった。

自分をさらに責める言葉

「がんばれ」という言葉が心に突き刺さる経験を、その後、私自身が味わうことになった。がんばらないと間に合わない、もう1年以上も睡眠時間が連日3〜4時間、働く時間は16時間以上。

 そんな毎日を送っていて、疲れきっていた。そんなとき、「がんばれよ」と声をかけてくれたのだけれども、「いや、これ以上がんばれないし。現状ですでに体を壊しかけているのに、これでまたがんばったら、確実に壊れてしまう。なのに、もっとがんばれと言うの? 頑張りが足りないと言うのか?」


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