長らく日本経済を力強く支え、海外でも大きな成功を収めてきた日本の自動車産業。しかし、燃料はガソリンから電気や水素へ変わり、IoTの枠組みの中に飲み込まれた自動車開発へは巨大IT企業が続々と進出している。
 
 今までとは次元の異なる自動車産業の大転換期において、日本の自動車メーカーは国際的競争力を維持していくことができるのだろうか。また、サプライヤーなどの生態系はいかに変化していくのだろうか。世界の自動車産業に詳しい桑島浩彰氏(K&アソシエイツ取締役、カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院エグゼクティブ・フェロー)との共著『日本車は生き残れるか』(講談社現代新書)を上梓した川端由美氏(自動車評論家・ジャーナリスト)に話を聞いた。(聞き手:加藤葵 シード・プランニング研究員)

※記事の最後に川端由美氏の動画インタビューがありますので是非ご覧ください。

──本書の中で、現在の日本の自動車産業を「警告されても崖に向かって突き進む巨人」と表現しています。そのココロは何でしょうか。

川端由美氏(以下、川端):日本の自動車産業は、多くの雇用を抱える大きな産業、いわば「巨人」です。

 その巨人の前方には「産業構造の変化」という崖があり、そのまま歩き続ければ真っ逆さまに落ちてしまう。それを回避するためには「産業構造の変革」という橋をかけなければならないのに、危険や警告に気づかないままドシン、ドシンと歩き続けている。そうした警告を伝えるための比喩として、現在の日本の自動車産業を「目隠しをした巨人」としました。

 かつての日本には電機や重工系の強い産業構造がありましたが、自分たちの強みにこだわっている間にモノづくりのルールが変わってしまいました。世界の自動車産業のキーワードは「CASE」です。コネクテッド(connected)のC、自動化(autonomous)のA、シェアリング(shared)・サービス(service)のS、電動化(electric)のEのそれぞれの頭文字をとったものです。

 それまでが強かったとしても、ルールが変わったことに気づかないままでは自分の強みを生かして戦うことはできません。ボクシングの試合をしていたつもりなのに、気がついたら相撲の土俵に上がっていた、そんなことが起こりかねないのが、現在の自動車産業の構造変革です。

──世界で戦う日本の乗用車メーカーとして、トヨタ陣営(トヨタ、ダイハツ、マツダ、スバル、スズキ)、外資(日産、三菱)、そしてホンダという3つのグループがあると述べています。それぞれのグループの特徴は何でしょうか。