ネットフリックス(NETFLIX)は、重要なターニングポイントで最悪な手を決断してしまった。トップのヘイスティングスはこの失敗を踏まえ、真摯な反省をもとに、社内規律の1番目に、「反対意見を募る」という項目を入れた。これが現在のネットフリックスの成功につながったと言えるだろう。(JBpress)

※本稿は『世界「失敗」製品図鑑 「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道』(荒木博行著、日経BP)より一部抜粋・再編集したものです。

 前回は、急速な高度経済成長という事業環境の変化に製品開発がついていけず失敗した例として、トヨタの「パブリカ」を紹介しました。

パブリカの手痛い失敗があって生まれた“世界一”
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67269

 今回は、重要なターニングポイントで最悪な手を決断してしまったトップを、社内の誰も止められなかったネットフリックス(NETFLIX)の「クイックスター」を取り上げます。

郵送型DVDレンタルが大ヒット

 現在は動画ストリーミングサービスで大成功しているネットフリックスも、過去にDVDレンタル事業で大失敗しています。

 DVDレンタル事業で急成長を遂げ、動画ストリーミング事業へと展開していたネットフリックスは、2011年9月、「クイックスター(Qwikster)」という名の100%子会社を立ち上げ、クイックスターにDVDレンタル事業を移すことを決定します。また、これに伴いサービスを完全に分離し、それまではDVDレンタルとストリーミングサービスで10ドルだったものを、それぞれ7.99ドルずつ(双方契約すれば15.98ドル)にするという強気な価格設定を断行します。

 このプランにより、ネットフリックスはDVDレンタルという旧来型のサービスをクイックスターに譲り渡して身軽になり、純粋なネット企業としてその分野で台頭しつつあるアマゾンやフールー、アップルなどとの勝負に備える方向へと舵を切ったのでした。

 この意思決定の背景を理解するために、ネットフリックスの歴史を簡単に振り返ってみましょう。

 1997年にリード・ヘイスティングスとマーク・ランドルフによって設立されたネットフリックスは、店舗を持たない郵送型のDVDレンタルというビジネスモデルを構想します。映像メディアがビデオテープからDVDへと変わるタイミングに勝機を見出し、DVDであれば封筒で郵送可能であることを確認した上で、郵送型DVDのビジネスモデルに賭けたのでした。このビジネスは大成功を収め、ネットフリックスは一気に成長します。

 そして2007年には、アメリカ国内でのブロードバンド普及に合わせる形で新規事業として動画ストリーミング事業を立ち上げます。独自に開発したアルゴリズムにより、視聴者の好みを的確に理解できるようになったネットフリックスのストリーミングサービスは、着実に業績を伸ばします。