それは10月14日、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)の第3四半期のオンライン決算報告の席上で、おしまいに唐突に発表された。第3四半期の売上高が、NTベースで前四半期比11.4%増、ドルベースで12%増となったこと、売上総利益率が前四半期比1.3ポイント増の51.3%となったことなどが誇らしく報告された後、魏哲家(C.C.Wei)副董事長兼CEOが、こう述べたのだ。

「いまから日本での工場計画についてお話ししたい。わが社は、業界をリードする技術、世界最大の生産能力、効率的で費用対効果の高い生産、そして顧客へのよりよいサービスを提供するという競争優位を拡大し強化するため、製造拠点を広げている。わが社の世界規模の生産拠点拡大戦略は、顧客のニーズ、ビジネス上の機会、営業効率、経済コストの考慮に基づいている。

 投資先の価値・リスク調査を行った後、取締役会の承認を得て、日本に特殊技術の工場を建設する意向であることを発表した。このプロジェクトには、われわれの顧客と日本政府の双方から支持をいただく力強い関与を受けた。

 この工場は、22〜28ナノメートルの技術を使う半導体ウェハー工場である。2022年に着工し、2024年の年末に始動する予定だ。詳細については、取締役会の承認を得てから提供していく」

巨額の支援金をつけ国を挙げての大歓迎

 この魏CEOがサラリと語った発言が、日本では大ニュースになった。翌日の『日本経済新聞』は1面で大きく掲載。岸田文雄首相は14日、衆議院解散の大変多忙な一日だったにもかかわらず、夜の記者会見でわざわざこの件に触れてコメントした。

「最先端半導体の製造をほぼ独占する台湾企業の日本進出が本日発表されました。これにより、わが国の半導体産業の不可欠性と自律性が向上し、経済安全保障に大きく寄与することが期待されます。TSMCの総額1兆円規模の大型民間投資などへの支援についても経済対策に盛り込んでまいります」