日本の大衆車のデザイン寿命はなぜ短い? 長寿命で芸術的な工業製品を作るために「フェラーリ」に学ぶべきこと

JBpress5/28(水)11:30

「《公衆の好み》(それはよい好みとは何の関係もありません)の統計調査、検討を通じてこの美に達しうることはないということです。それは芸術家のようにただ一人で適切な直観、本質的なものに向かう天性を通じて到達するのです。(…)公衆の好みに対する配慮から出てくるものは(…)審美的成熟から生まれるのではなく、芸術には縁のない仮定のうえで公衆の好みに対する尋問から生まれるものであるため、審美的価値に達することがないのです。(…)「公衆の好み」に追従してかたちをこね上げるから、今日多くの製品と私たちの生活の様相がまさに卑俗化してしまっているのです。(…)美しいものは、審美的な生成による線はビジネスから生成したものよりも「もっと商売になる」ものなのです。(フェラーリのボディを創造したピニン・)ファリーナは(市場調査に)勝ったのです(20)」

■ フェラーリらしさとは

 フェラーリ90のデザインプロジェクトを率いたカーデザイナーのエンリコ・フミアも、フェラーリの歴史上、市場調査によらずに現れた3つの傑出したモデルを再解釈して、フェラーリ90にフェラーリらしさ(フェラーリのファミリーフィーリング=モデルが違っても当該ブランドらしさをユーザーに感じさせること)を付与している。

 これら3つのモデルとは、⑴アルド・ブロヴァローネが1965年にデザインしたディーノ206(parigi)、⑵ディエゴ・オッティナがデザインしたとされる1984年登場の512iテスタロッサ、⑶フィリッポ・サピーノがデザインした1969年の512Sである(上図2-11)。

 これら3つのモデルに共通する「フェラーリらしさ」を表現する諸要素は、⒜ディーノ206(parigi)に由来する波打つベルトライン、⒝ (イタリアの自動車デザイン工房である)ベルトーネ社ではなくピニンファリーナ社に由来する楕円形(だえんけい)のフロントグリル(グリル)、⒞512Sに由来する滴あるいは円蓋のような繋(つな)ぎ目のないガラス屋根、の3つであった。

(20)邦訳大石(1962)pp.236-240
(21)https://www.elettrauto-rivoli.it/blog/le-vetture-delbrand-ferrari-dino, https://www.pinterest.jp/pin/120752833743219181/, https://www.classiccarpassion.com/en/magazine/buying-guides/ferrari-testarossa-buying-guide-the-pinnacle-of-80sexcess, Fumia (2015) p.212より。

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