バーチャル・ウェハ工場構想、夜鷹部隊…アップル、エヌビディアなど世界的企業がこぞって頼るTSMCの成功要因とは?

JBpress6/16(月)11:30

 2020年に実用化された技術を3年足らずで主力製品に育て上げるほどに、TSMCの技術革新ペースは速い。高速で技術革新を行った一つの成果が、その特許出願・取得件数である。TSMCの特許出願件数は2022年5月には75000件を超え、特許取得件数は52000件超に達した。同社は特許出願、特許取得件数ともに台湾企業で最大である。

 TSMCの顧客リストには、アップル、インテル、エヌビディアといった世界的企業が並んでいる。売上高の65%が北米企業で占められている(図表3-6)。米半導体企業が国性能半導体を設計し、DRAM、CPUからディープラーニングに必要な大量のデータ処理を可能とするAI半導体(GPU)に至る流れを牽引してきた。TSMCは、半導体用途の流れを着実にフォローし、ニーズに十分応え得る最先端製品を提供してきた。

■ 図表3-6 TSMCの地域別売上高とシェア

 創業者の張は、「人民の、人民による、人民のための」の3原則に基づいて、TSMCを創業した。顧客企業のニーズを忠実にとらえることから始め、自社を顧客企業の工場として位置づけ、果実を顧客企業と分かち合うという目標を掲げた。TSMCの成功の根本は、この企業哲学にあった。

 TSMCは、自社を「顧客企業にとって最高のファウンドリ」とすることで、自社工場を持たないファブレス企業を引き付けてきた。TSMCが発展したのは、受託生産に特化するという革新的なビジネスモデルであったことのほかに、製造業ながら顧客の利便性を追求しサービスの充実に努めてきたことが大きい。

 例えば張は、創業当初から「バーチャル・ウェハ工場」構想を掲げてきた。これは、TSMCが顧客企業の仮想自社工場として製造を受託し、顧客は(自社工場のように)製品の製造工程を管理できる仕組みを構築するという構想である。

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