バーチャル・ウェハ工場構想、夜鷹部隊…アップル、エヌビディアなど世界的企業がこぞって頼るTSMCの成功要因とは?
JBpress6/16(月)11:30
顧客の多くを占めるファブレス企業は、自社で工場や生産設備を持たないため、初期投資や固定費を抑えられるなどのメリットはあるが、自社で製造しないために製品の品質、コスト、納期を管理するのが難しく、製品・技術に関する機密情報が漏洩するリスクがあった。
TSMCは、単に受託製造に特化するのみならず、ファブレス企業にありがちな問題点を大幅に軽減すること、その意味で顧客企業の負担を軽減するサービス向上に取り組んできた。
例えば、TSMCは、顧客企業がTSMCのサイト経由で製造の進捗をリアルタイムでチェックできるシステムを導入している。これにより顧客は、パスワードを入力すれば、いつでもTSMCのコンピュータシステムにアクセスし、製造委託した半導体が現在どの工場でどの工程にあり、完成や出荷までにあと何日を要するかが一目瞭然で確認できる。
また、TSMCの技術者は、顧客企業のあらゆる問題を解決するために、顧客企業に雇われた社員のように働くことを求められる。
TSMC社員の顧客企業への忠誠心や勤勉性を表す「夜鷹部隊」という言葉がある。TSMCの技術者は、顧客企業から呼び出しがあれば、たとえ真夜中でも寝室から飛び起き、タクシーで工場に向かうことを厭わない。2016年、TSMCが10nmプロセス技術で世界をリードしたことは、将来の重要な布石となったが、その基盤となったのが、24時間3交代制のフル稼働体制「夜鷹部隊」である。
その契機となったのは、2014年12月、TSMCの後塵を拝していた韓国・サムスン電子が14nmの量産を始めたことだった。当時、TSMCの主なプロセス技術は16nmであり、サムスン電子が14nmで受注を奪うことが懸念された。
早速TSMCは、10nm次世代プロセスの開発に取り組むことを宣言した。そこで導入されたのが、研究開発部門の24時間3交代制、「夜鷹部隊」だった。研究開発スタッフは「日勤」、「準夜勤」、「夜勤」の3グループに分かれ、24時間3交代制のノンストップで勤務した。各々8時間ずつ輪番で勤務して、10nmの研究開発を切れ目なく続け、学習曲線を短縮したのである。











