バーチャル・ウェハ工場構想、夜鷹部隊…アップル、エヌビディアなど世界的企業がこぞって頼るTSMCの成功要因とは?
JBpress6/16(月)11:30
業務記録を正確にとって、わかりやすい説明で着実に次の担当者に申し送りをすれば、続きの作業を円滑に進めることができる。夜鷹部隊の特筆すべき点がここにある。夜鷹部隊の目標は、2016年にはサムスン電子や同じく10nmプロセスの開発に着手していたインテルを抜き去ることだった。夜鷹部隊は、TSMCの研究開発部門を大きく飛躍させた。
その後もTSMCとサムスン電子の競合は続き、2022年、サムスン電子は3nmの量産開始を発表した。もっとも、3nmの量産開始は遅れたものの、TSMCは欠陥率の低さと納期では明らかに勝っており、評価は高まるばかりだった。
この頃既に、TSMCは競合企業を大きく引き離していたといってよい。業界で前例のなかった24時間3交代制は、研究開発に伴う学習曲線を短縮しただけでなく、良質な人材を集めることにも貢献した。夜鷹部隊で勤務する社員の給与は、勤務時間帯により格差をつけられており、夜勤の給与の高さに魅かれた優秀な人材が多数応募してくるようになった。
TSMCでは、全ての行動は顧客企業のためにある。製造受託した製品や委託先企業に関する情報は極秘扱いとして管理されている。企業ばかりでなく、TSMCと関係を持つ個人の情報やプライバシー保護の徹底を図ることでも知られている。
TSMCは台湾籍の企業だが、創業者の張氏から3代にわたり全ての社長が米国籍である。張氏はTSMCを創業すると、米国流の実力主義を徹底させ、ITRI院長時代の配下だった多数の技術者とともに世界最高水準の半導体企業に育て上げてきたのである。
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(漆畑 春彦)











