連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第28回。新型コロナウイルス感染症患者が亡くなった場合、遺族も長期的に苦しむリスクがある──第3波が急拡大している中、讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が新たな視点でこの病気の怖さを訴える。(ヒューモニー)

 現在、新型コロナウイルス感染症の急拡大が止まらず、医療体制を維持できるかどうかの瀬戸際に立たされています。そんな中でも、「新型コロナ感染症は恐れる必要などない」という専門家が一部にいます。私は常々、客観的なデータや事象に基づいて「正しく恐れましょう」と訴えてきました。そこには、過剰な恐れは、合理性のない過剰な感染予防策や検査につながり、限りある医療資源の無駄遣いを招いてしまうという意味も込めています。しかし、実際に新型コロナ感染症重症患者の治療にあたってきた私は、恐れなくてよいと考えたことなどついぞありません。

 また、繰り返し述べてきたように、新型コロナ感染症は、「感染力がある程度強くて広がりやすく、かつある程度重症化しやすい」(第22回参照)、「無症状でも感染力がある=ステルス性がある」(第11回参照)、「非常に多様な後遺症が現れる」(第9回参照)・・・等々、本当にやっかいな病気です。そのやっかいさは、患者が死に直面した場面、そして不幸にして亡くなってしまった後にもあります。今回は、新型コロナ感染症と死について考えてみたいと思います。