再び受け入れてくれた社長

 で、先生(保護司)に電話して、社長に謝ってもらいました。そしたら、直ぐに社長から電話きて「今、どこに居るんか。食事はしたか」と心配してくれた。名古屋の知り合いの家に居ますと言うと、「交通費送るから、直ぐに帰って来い」と言われ、胸が熱くなりました。

リポーター:ちゃんとした仕事で、お金を稼ぐのはどんな感じですか。

A氏:仕事していない自分がヤバいと思いました。仕事していないから、楽なはずですけど、本当は楽じゃない。だんだんと、自分が追いつめられる気がします。

 働き出して、今月で2カ月くらいになります。何か、充実感がありますね。昔(反グレ時代)は、シノギして飲み行って朝帰りとか、そんな生活が楽しかったけど、現在は、仕事をしていると充実しています。逆に、休みの日はどうしていいかわからない。とにかく、仕事はキツいけど、充実感がありますね。

自分で汗かいて稼いだ金だから大事にする

 お金に関しては、同じお金を稼ぐにしても、確かにオレオレの方が多く稼げます。でも、楽して稼いだ金って大事にしない。自分で汗かいて稼いだ金は大事にする。たとえば、昔は、歩くのダルいから、直ぐにタクシー乗ってたけど、いまは、少しくらいなら歩きます。

 悪い事していたら、それが当たり前になる。「楽してこんだけ儲かった」って考えるけど、そもそも自分の金じゃないですよね。それは人の金。仕事していたら、こんだけ頑張って、こんだけ貰えた。だから、自分の金に思える。すると、節約するようになりました。

 最近、実感していますけど、楽な仕事ってないですね。何かしらキツいことあると思う。でも、仕事していることが大事です。仕事を通していろんな人との付き合いもできました。真面目に仕事していると、いい方向に向いてくる気がします。自分を理解してくれる社長や仲間のもとで働きたいですね――。

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 以上、更生まで紆余曲折するA氏の姿をご紹介した。読者の皆さんは、自業自得だと断罪する方もおられると思う。しかし、この青年は、実家が本人の身柄引き受けを拒否している。実父と義母の家庭であるが、家庭にすら居場所がなかったA氏が、良くも悪くも「友達」を求め、そこに仮染めの居場所を求めざるを得なかった背景には、筆者は同情を禁じ得ない。

 次回は、A氏の更生を見守り、「キレられて」辞めたにも関わらず、友人に裏切られ、不案内な土地で窮地に陥った若者に救いの手を差し伸べ、彼に仕事と社会的居場所を与えた雇用主さんの本音をリポートする。

(廣末 登)