白鵬は過去にも取り口ばかりでなく、判定に不満を示し続けたことなどで非難されたことはあったが、今回は「大相撲が廃れていくという深い疑念」を「共有した」と踏み込んだ表現をした。

 しかし、最も批判の対象となった千秋楽の一番を含め、今回の取り口を白鵬が全く反省していないことは、千秋楽から一夜明けて語った言葉「上位に入るくらい価値ある優勝、最高です」からも判然とする。

 逆に挑発されてみっともない取り組みになったことをしっかり反省していたのがこの一番で横綱昇進を確実にした大関照ノ富士であった。

 その言葉は横綱への昇進が決まった時の口上「謹んでお受けいたします。『不動心』を心がけ、横綱の品格 力量の向上に努めます」にも表れていた。

 筆者は「有終の美を飾ってほしい白鵬関へ」(JBpress、2020.8.1)という一文もかつて認めた。美しい姿で土俵を終え、後に続く力士たちの見本になって欲しいという一念からであった。

 日本国籍も取得し、内弟子も養成しているし、成績からは一代年寄などの声も聞こえてくる。

 しかし、横審が言及した「深い疑念をみんなで共有した」という一句は、白鵬の土俵上の振る舞いばかりではなく、弟子たちを育てる「親方」となる者への警鐘とも取れる。

 肘鉄や張りばかりを得意とし、懸賞金を振り上げ、大一番で勝てばガッツポーズをする姿は、従来の日本の相撲道からかけ離れているし、そうした力士が続々出てくるようでは「相撲道」の終焉となるからである。