連載:少子化ニッポンに必要な本物の「性」の知識

 人間が幸福であるという最も大きな要因の一つは隣人との交誼(融合)であろう。

 恋愛のきっかけは、自分の存在と同じように相手の存在を認識するところから始まる。

 それが、次第に心惹かれ、恋しく慕わしい気持ちになる。そして、相手に対し自分と何ら変ることなく幸福を願い、痛苦を厭い、苦しみを克服し、平安を獲得したいという愛情へと発展する。

 結婚は良くも悪くも人生を変えるものである。

 その土台となる真の愛情とは、男と女の対象を超越した、もっと広義の感銘、同情、共鳴、尊敬などの場合にも顕われる感情そのものである。

 愛情を精神的なものと肉体的なものとに分ける考え方では、しばしば精神愛は「純心で崇高」なものとされ、肉体愛は「性愛」として「秘事」とする傾向が強い。

 だが、生理的な次元での満足というのは、心の奥底からの歓喜という悦びを沸き立たせ、2人の愛の持続のための確かな楔とも、支えともなるものである。

 それは生命を吹き込む行為であり、人間の本能的使命に基づく顕われといえよう。

 生物学的な観点でとらえれば、愛は永遠ではない。

 相手の良いところも悪いところも含めて愛することができる、というのは幻想にすぎないのだという。

 では、なぜ人は結婚するのか。そして、なぜせっかく結婚したカップルの3分の1が離婚するのか。

 その理由について、米ジョージア州にあるエモリー大学のヤング・ラリー医学部精神医学科教授は、著書『性と愛の脳科学 新たな愛の物語(中央公論社刊)』で、こう明かしている。