(埼玉市民オンブズマン・ネットワーク代表幹事:田中寿夫)

 本年1月、埼玉県戸田市議選に立候補した異色候補「スーパークレイジー君(本名・西本誠)」が当選を果たし、全国的に大きな話題を呼んだ。ところが、そのスーパークレイジー君議員について、4月9日、戸田市選挙管理委員会は「居住実態なし」として当選無効の決定を下し、再び世間を驚かせた。

 もっとも当のスーパークレイジー君はこれを不服として、4月13日、埼玉県選挙管理委員会に審査を申し立てている。今後、同選管で審査し決定が再び当選無効の決定が出れば、東京高裁にその取消しを求め、訴えを提起するという。そのため現在は、戸田市議として活動中だ。

 スーパークレイジー君の場合、どのような結果になるのかは県選管や東京高裁の判断を待たねばならないが、実は全国でこのような「居住実態なし」として当選が無効とされる地方議員は珍しくない。地方議会の議員として、また市民オンブズマンとして活動している筆者は、そのようなケースを数多く見てきた。調査されればすぐに判明してしまうような事実を隠して、なぜこんなにも多くの人々は選挙に臨んでしまうのか。

首長選挙にはないが、地方議員選の候補者には求められる「居住実態」

 公職選挙法では、選挙権は日本国民の満18歳以上で、都道府県議会議員選なら同一都道府県に、地区町村議会選なら同一市区町村に引き続き3カ月以上の住所を有していることを要件としており、選挙権を行使するには居住する市区町村の選挙人名簿に登録されている必要がある。そして、被選挙人になるためには居住する市区町村の選挙人名簿に登録され25歳以上でなければならない。

 ちなみに、知事や市長、区長といった首長の被選挙権については、このような住所要件はない。これは、首長には全国各地から優秀な人材を集められるようにすることが目的と説明されている。

 だが上記のように、その地方の住民の代表たるべき自治体の議員は別だ。立候補の資格があるのは、日本国民で、25歳以上で、その自治体の選挙権を有している者だけだ。

 それなのに、地方議員選挙が行われ、当選が確定した後に「居住実態がない」として第三者から当選無効の申立てがあり、審査されるケースが増えているのだ。