GAFAMにデータを預けるのに国はダメな理由は?

 このような観点から見た時、わが国は監視国家のトラウマにとらわれているのではないか。デジタル技術は、国家が国民の個人情報を集め国民の行動を監視するためのツールとしてだけではなく、国民の側から国家の活動を監視するツールとしても使えるはずだ。マイナンバーをはじめ、デジタル技術を活用して、きめ細かく効率的な福祉国家を実現しつつ、しっかりとした民主主義国家を作る方法も検討すべきではないか。

 わが国では、国家が国民の個人情報を保有することに対する警戒感が強いが、現在、多くの国民はアマゾンやグーグルといったグローバルなプラットフォーマーに膨大な個人情報を預けている。わが国政府の規制が及ばない海外の民間企業に預けているが情報が、どのように管理され使われているかは必ずしも明らかではない。受ける利便は非常に大きいが、リスクもあるこれら海外のプラットフォーマーに対する規制が、現在、国際的な課題となっている。

 それに比べるとわが国において国家に対する監視をどうするかは、われわれが決めることができる。国家が規制できない海外のプラットフォーマーに多くの情報を預けながら、自分の住む国には預けられないというのはどういうことか。国家の活動に対するしっかりとした監視システムを作って、より公正で効率的な福祉国家の実現を目指していくべきではないか。

 それとも現代のデジタル技術は使わず、多額のコストをかけ、非効率でミスもある手作業に近い方式で福祉サービスを提供し続けていくのか。コロナ禍を機に、視点を変えて、これからの国家のあり方を考え直してみてはどうだろうか。

(森田 朗)