ロシアの航空産業を潰しにかかった米国

 日本であれば開発のやり直しで、元々の主翼や尾翼と同等なものを作れるかもしれない。しかし、ロシアではそれではすまない。

 ロシアの報道では可能とされているようだが、現実的にはロシア製では、同等の材料を揃えることは不可能だ。

 主翼や尾翼の1次構造部材を作るのに必要な炭素繊維の引っ張り強度は5.5GPa(1ギガは10億、パスカルは圧力の単位)程度。ロシアではこの強度の炭素繊維を安定して量産した実績がない。

 また、主翼は「VaRTM法」という最新の方法を使用している。VaRTM法に用いる炭素繊維のテープは日本企業でも手を焼くものだと言う。

 ロシアの技術力は、平均点は低いが稀に局所的に世界の業界関係者を驚かせる高度な開発をすることがある。世界最先端のVaRTM法を使用して、MC-21の炭素繊維複合材製主翼を製造したことがまさにそうであった。

 しかし、ロシアで米国製材料と同じものを作ることは、東レが何十年もかかったようなことを数年でやり遂げることが必要となる。

 VaRTM法で主翼を作ることよりも、VaRTM法で使用する材料を作ることの方がはるかに難しい。さすがのロシアでもできないだろう。

 材料をロシア製のもので置き換えなければならないのであれば、現在のMC-21と同等の旅客機を作り上げることはすでに絶望的と言ってよい。

 そうなると、主翼も尾翼もロシア製の強度の低い炭素繊維で従来のプリプレグ積層・オートクレーブ硬化法で生産することになる。

 ロシアの炭素繊維は、パフォーマンスが低いだけでなくコストも高いので、性能低下・コストアップが生じる。

 または、炭素繊維複合材をあきらめてアルミ合金で作る手もある。こちらの方が現実的ではないかと思われる。


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