台湾の蔡英文政権は、中国の習近平政権と激しく対立していて、中国からのワクチン提供の申し出を断固として断り、日本とアメリカからの提供を熱烈歓迎した――そんなニュースが、日本では流布している。今週末に開かれる英国G7でも、中国の脅威に苦しむ台湾をいかに防衛するかを議論する予定だ。

 だが、台湾は中国に対して、本当にそれほど強く反発し合っているのだろうか? 台湾人は、中国製ワクチンをそんなに嫌っているのだろうか?

台湾人は本当に「中国嫌い」なのか?

 台湾の有力ネットメディア「ETtoday」(6月7日付)は、「多くの人が大陸へ行ってワクチンを打っている」と題した記事を掲載した。その冒頭部分を訳出してみよう。

<台湾のコロナ禍が深刻で、最近の空港は、台湾を離れようとする大量の人で溢れている。その多くは、アメリカへ行ってワクチンを打とうという人だが、その中に少なからず、中国大陸へ行ってワクチンを打とうという人々がいる。台湾商会の徐正文会長が明かすには、周囲の多くの台商(中国大陸でビジネスする台湾人)たちは皆、中国大陸へ行ってワクチンを打っているという。何しろ距離が近いし、ワクチンを打つプロセスも容易である。予約の登記だけすれば、無料で打てる。

 もともと台湾のコロナ対策は優れていて、多くの台商は中国大陸へ行くと長期間隔離されるので、台湾に残った。しかしいまや、台湾のワクチンは足りず、アメリカへ行くには遠すぎるので、近い中国大陸を選んで渡り、ワクチン接種を済ませるのだ。「中国大陸は台湾同胞、台商、台湾幹部に対して友好的で、登記さえすれば無料で打てる」(徐会長)

 徐会長が言うには、いまや多くの台商が上海やアモイに行ってワクチン接種を行っている。北京は隔離措置が比較的厳格で、上海は隔離が終わればすぐに予約でき、緑(安全)の健康コードをくれるので、とても楽だという(以下、記事は長く続くが省略)>

 この記事には、台湾最大の玄関口である桃園国際空港で、搭乗口に殺到する台湾人の様子を移した写真も添えられている。

 この記事が語っている内容が事実なら、蔡英文政権が、「中国のワクチンなんか不要だ、中国はワクチンを政治利用しようとしている!」といきり立っていたことが、いささか滑稽に見えてくる。少なくとも、2360万人の台湾人の一部は、中国大陸に向けて殺到しているのだから。