筆者はロシア(1991-)の歴史はインフレとの戦いの歴史であると考えている。

 1990年代のインフレは政治体制移行に伴うものであったとはいえ、経済的なインパクトは日本の終戦直後に等しく、破壊的であった。

 1990年代前半のインフレ率は1000%(ピークは2500%)を超え、前年同月比11倍の物価上昇が続いていたのである。

 当然、ソビエト時代のルーブル預金の価値は限りなくゼロとなった。

ロシア インフレ率 長期推移 (1991-2021)

プーチンを支持する国民の理由

 プーチン大統領が表舞台に登場したのは2000年のことであるが、1990年代を記憶するロシア国民にとっては、2000年以降現在までのプーチンの時代がいかに安定した時代であることか、上記のグラフから明らかであろう。

 6月17日にはジュネーブにおいて5年ぶりの米露首脳会談が行われた。

 日本での報道では「大国としての復権を目指すロシアのプーチン大統領は…」と常套句が使われるのだが、プーチン大統領にしてみれば世界最多の核弾頭を保有していても、インフレで国家は崩壊することを目の当たりにしている。

 プーチン大統領にとって、インフレ抑圧は何をさておき最優先の政策課題なのである。

 こうしたプーチン大統領の意を汲んでか、ロシア政府は積極的なインフレ対策に乗り出している。