韓国の次のターゲットは軍事力で日本を凌駕すること?

 韓国は2020年7月に、米スペースXのロケットを使って初めての軍事衛星を打ち上げた。しかし、技術面でも、また米韓同盟下での軍事衛星の取り扱いの面でも、まだ日本のレベルには至っていない。日本は昨年、UAEの衛星を打ち上げたのだから、レベルの違いは誰の目にも明らかだろう。

 半導体、電化製品、スマホ、自動車など、様々な技術で日本に追いつき追い越せとの発想でやってきた韓国だが、潜水艦を含む建艦技術などでは日本に後れを取っている。衛星を打ち上げるロケット技術と衛星そのもの開発技術に関して言えば、極端に遅れている。

 文政権は2019年8月に、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を日本に対して通告したが、同11月に通告の効力を停止するとしてこれを維持した。打ち上げ直後の自国の軍事衛星の能力が低かったため、独自には衛星からの北朝鮮情報を取れないと判断したからであろう。時間軸を追えば、文政権が初の軍事衛星に掛けていた期待の大きさがわかる。

 文政権に近い筋の話では、韓国は今、この軍事衛星技術をより高度なものにしなければならないという認識で政策を練っているようだ。この背景に、軍事面を含むすべての面で日本を凌駕するという目標があるからだろう。日韓併合条約の下、35年間に及ぶ日本の支配を見返したいという意外と単純な理由だと筆者は考える。

 ちなみに、韓国の軍事支出は、2020年で457億ドル(ストックホルム国際平和研究所)と日本(同491億ドル)に次いで第10位だ。日本がGDPの1%にこだわっていること、韓国が航空母艦や軍事衛星、またICBMの配備などを準備し始めたことを考えれば、早晩逆転するだろう。

 日本の軍事技術には第二次世界大戦以前からの蓄積がある。このため、韓国が軍艦などで日本を追い抜くことは容易ではないと思うが、この目的に向かって邁進する韓国の姿は称賛に値すると言えるのではないだろうか。竹島問題では完全な敵国だが、敵ながら天晴れである。

 なお、訪韓している米国務省のソン・キム国務次官補代行(北朝鮮担当特使)の目的は北朝鮮問題についての話し合いだが、サプライズがあるとすれば、台湾を訪問するかどうかである。

(小川 博司)