ほかの外国なら純粋に興味を抱く話題だが、ここは韓国だ。誰かに聞かれれば批判されたり攻撃されかねない際どい話題を、堂々と韓国語で、しかも何度も繰り返すのだ。夕方なので客はまばらだがそれなりにいる。だから余計にその声はフロアに響きわたる。そんな話をしていたという噂がネットなどで書かれ、店の評判が悪くなったり、あるいはオーナーが嫌がらせをされたりしないだろうか。

 そんな私の複雑な感情をよそに、彼は、日本の社会が天皇という存在をどのように見ているのかなどの質問を始めた。少なくとも上皇陛下にしても、今上陛下にしても、国民に寄り添い続けていらっしゃって、報道によれば、多くの国民が好感と敬意を抱いているというようなことをあれこれと話した。

 オーナーに言わせれば、それが「ものすごく羨ましい」という。一体どうしてなのかと訊ねてみると、「韓国はいつも分裂しているからだ」という返事だった。

 その話をまとめると、だいたい次のようになる。