9月28日、防衛省は北朝鮮から「弾道ミサイルの可能性があるものが発射された」と発表した。北朝鮮は9月15日にも弾道ミサイルを発射しており、相次いでの発射である。北朝鮮のミサイル実験にはどのような意図があるのか。前回のミサイル試射を軸に、北朝鮮の幹部養成機関である咸興共産大学でも教鞭を執った脱北者の金興光氏が分析する。

※記事の最後に、北朝鮮が開発した鉄道機動ミサイルの写真が多数ありますので是非ご覧ください。

◎金興光氏の過去の記事はこちら(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%87%91+%E8%88%88%E5%85%89)をご覧ください。

(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)

 北朝鮮は9月16日、朝鮮中央通信などの報道を通じて、再び弾道ミサイルを発射したことを認めた。朝鮮中央通信はこの日、「鉄道機動ミサイル連隊は15日、中部山岳地帯に移動し、800キロ先の標的地点を狙う任務を遂行、訓練に参加した」とし「標的に正確に着弾した」と報じた。今回の訓練に金正恩総書記は欠席し、代わりに政治局常務委員の朴正天党書記が指揮したという。

鉄道機動ミサイル発射の内幕

 報道では、鉄道機動ミサイル連隊が第8回党大会の決定によって組織されたと報じるとともに、「軍事作戦上必要な際に、敵対勢力に対し同時多発的な集中攻撃を行えるよう、様々な脅威に積極対処する能力を大幅に引き上げる」ことが目的だったとした。

 北朝鮮が、従来の移動式ミサイル発射車両(TEL)ではなく、列車から弾道ミサイルを発射したことが確認されたのは15日のミサイル発射が初めてだ。鉄道機動ミサイルシステムとは、列車車両上で弾道ミサイルが搭載された発射台を横倒しにして移動し、発射地点で発射台を垂直に立てて発射する方式だ。

 列車から発射するミサイルを開発した理由について、北朝鮮側は「鉄道機動ミサイルシステムは全国各地に分散させた兵器により、同時多発的に敵対勢力に大打撃を与えられる、効果的な攻撃手段だ」と説明している。

 TELをはじめとする車両基盤の移動方式や開発中である潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に加え、鉄道機動ミサイルシステムを配備し、全国各地から発射が可能なシステムを構築しようとの意図とみられる。

 朝鮮中央通信はこの日、「鉄道機動ミサイル連隊に実戦配備の経験を積ませ、ゆくゆくは鉄道機動ミサイル旅団への格上げさせることも協議している」と発表している。今後も鉄道機動ミサイルシステムを使った訓練が行われる可能性もある。

 もう少しこのニュースの背景を探ると、今回前触れもなく行われた鉄道機動ミサイルの試験発射の意味がさらに明確になる。