1.グローバル視点から見た中国の加入申請

 9月16日に中国がCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)加入を申請すると、その6日後に台湾も加入を申請した。

 これに関して岸田文雄首相は、台湾の加入には歓迎の意向を示す一方、中国の加入については、CPTPP加入条件をクリアできるかどうかは不透明として、ややネガティブな姿勢を示した。

 このため、日本ではCPTPPを巡る中国と台湾の関係に注目が集まっている。

 しかし、CPTPPが自由貿易体制進化のための最高度のインフラとしてグローバル経済に与えるインパクトとそれを健全に発展させる意義の大きさを考えれば、中国と台湾の間の問題は、世界が重視する優先順位の高い課題とは言えないように思われる。

 最近の多くの議論を見ていると、日本政府が主導してCPTPPの創設を実現したことの意義の大きさが十分理解されていないように見える。

 WTO(世界貿易機関)の機能不全が長期にわたって問題視されながら、加盟国間の合意形成が難しいため、その改革が進まない中、CPTPPはWTOに代わる財とサービスの両面にわたる次代の自由貿易体制を支えるプラットフォームになると考えられる。

 現在、国際的な合意形成のための重要組織を見ると、国際連合、WTO、NATO(北大西洋条約機構)、G20、G7など、どれをとっても参加国間の意見対立が先鋭化しており、グローバルな重要課題の解決のために有効な政策に関する合意形成が難しい状況にある。

 もし今後、2018年12月30日のCPTPP発効時点の11カ国に加えて、英国、中国、台湾のほか、EU、韓国など世界の多くの国々が加入すれば、WTOを代替し、さらに高い自由貿易基準を提供する有効なプラットフォームとなる。

 国際機関の機能不全が目立つ最近の国際情勢において、その存在意義は非常に大きい。

 このような重要な意義と日本がそれを主導する責任の重さをより深く理解し、CPTPPに関する議論をより高い視点からの、バランスの取れたものとする努力が重要である。

 以上からも明らかなように、日本のCPTPPへの取り組みは、今後日本が国際社会の中で信頼される存在として、世界各国から期待される役割を担えるかどうかが試される重要な試金石である。

 政治的には中国、台湾、そして米国などとの関係への配慮が重要であることは言うまでもない。

 しかし、それだけにとどまらず、CPTPPの進化を通じてグローバル経済のために貢献する日本の基本姿勢がぶれないかどうかが世界から注目されている。