2015年の慰安婦合意と「明治日本の産業革命遺産」のユネスコ世界遺産登録に外相として対処した岸田首相。だが、慰安婦合意はその後、破棄され、ユネスコ世界遺産登録でも、朝鮮人の徵用を表す「forced to work」という言葉が公式文書に残されるとともに、朝鮮人の徵用を知らせるインフォメーションセンター設置を推進することが決められた。首相になった岸田氏は韓国とどう向き合えばいいのか──。韓国における保守派論客として知られるファンドビルダー氏の論考(中編)。

◎前編「韓国に二度煮え湯を飲まされた岸田首相が韓国に対してすべきこと」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67389)を読む
◎後編「自浄能力のない韓国に期待しても無駄、強力な輸出規制をかけよ」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67392)を読む

 2015年12月28日、日本政府は安倍晋三総理が謝罪を表明し、10億円を慰安婦問題解決基金に拠出することで、再度妥協した。岸田総理は外相として韓国を訪問、日韓慰安婦問題の合意に関する共同発表文を朗読した。

 発表文は「慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決」「韓国政府が日本大使館前の慰安婦像の解決に努力」「国連など国際社会で慰安婦問題を相互非難することを自制」といった内容だった。しかし、合意は韓国によって事実上、破棄された状態だ。

 慰安婦問題の展開を参照すると、明治産業革命遺産に関しても、韓国が「ユネスコ決議案履行促求」を大義名分に、国際社会で反日プロパガンダを大々的に展開する可能性を排除できない。今後、慰安婦像の横につるはしを持った徴用工像が追加設置される光景を目にすることになるかもしれない。

 2015年にユネスコ世界遺産登録と慰安婦問題の合意を進行した岸田総理は、韓国に誰よりも怒りを感じただろう。

 日本と韓国の建設的未来のために、岸田総理が必ず念頭に置くべきことがある。 それは、「韓国に対する謝罪や譲歩は問題を終結させることはなく、より大きな問題の出発点になる」ということだ。

 これは既に証明されている。強制連行の客観的証拠がない中、1993年に「慰安婦問題で日本に補償を要求しない」という韓国政府の約束を信じて「河野談話」を発表したが、談話は慰安婦問題を増幅させる起爆剤となった。2015年に日本が慰安婦問題で再度、韓国に謝罪し補償したが、韓国人らは今も日本に慰安婦問題で謝罪を求めている。

「河野談話」は、朝日新聞の煽動報道に触発された反日世論に怯え、慌てふためいた日本政府が事態をまとめようとした日本の歴史的な外交惨事といえる。反日騒乱に安易に対処した結果、今日の大乱を招いたのだ。

 韓国は各種の反日騒乱が頻発している国である。反日騒乱に揺らぐことなく、客観的証拠を判断基準にする原則に固守していたなら、慰安婦の強制連行は誤報として決着しただろうし、その後の大乱もなかっただろう。明治産業革命遺産登録も同様だ。票決を負担に感じた結果、「forced to work」という表現と、「ユネスコ決議文」による火種が誕生したと考えられる。