さらに11月には同海域でフィリピン軍に物資を運んでいた民間船2隻が、中国海警局の船舶から放水銃で航行を妨害されてもいる。

 フィリピンにとって、VFAを失うとなると、米国からの軍事的な後ろ盾を失うことになり、ドゥテルテ大統領は米国との関係を重視せざるを得なかった。

 これまでフィリピンは、中国からの軍事侵攻を受けた場合、侵攻に対抗するための選択肢が少なく、軍事的脆弱性をさらすだけと受け取られていた。

 ただ2010年頃から変化が生まれた。

 米ペンシルバニア州フィラデルフィア市にあるシンクタンク、外交政策研究所の上級研究員フェリックス・チャン氏は次のように述べている。

「フィリピンの戦略環境に変化が見え始めたのは2010年のことである。ベニグノ・アキノ3世前大統領が、自国の防衛力を復活させるために長い再建計画を始めたのだ」

 アキノ前大統領はフィリピン軍の15年間の近代化計画を構築し、議会から予算も取り付けた。

 後継者であるドゥテルテ大統領も同計画を継続しており、2015年には戦闘機10機以上とフリゲート艦2隻を配備した。

 フィリピンはこの年にスービック基地を23年ぶりに軍事利用し始めてもいる。