韓国には、1997年のトラウマが今なお根強く残っている。アジア通貨危機に端を発した経済危機である。最終的に、国際通貨基金(IMF)の救済を受けることを余儀なくされた。その後、復活した韓国はついに先進国入りを果たしたが、今の韓国は経済危機の前の状況によく似ているという。

 韓国の保守論客、ファンドビルダー氏が分析する、IMF危機の前夜と今の3つの共通点とは(前編)。

 韓国ウォンと米ドルの為替レートにおいて、「1ドル=1200ウォン」というレートは心理的に重要な意味を持っている。ウォン/ドルの為替レートが1200ウォンを超えると(すなわち、ウォン安になると)、市場関係者は韓国経済全般に危機の警告が出たと認識する傾向が強い。

 2022年1月6日、ソウル外国為替市場で取り引きが始まるや否や、為替レートは1200ウォン台に上昇した(ウォンの価値は下落した)。新型コロナの感染拡大で世界金融市場が大きく揺れた2020年3月、ウォンは対ドルで1296ウォンまで急騰したが、その後は安定し、だいたい1080〜1180ウォンの範囲で取り引きされてきた。

 2021年10月に再び上昇し、1200ウォンのラインに到達したが、その後、ウォン安が反転し、1190ウォン前後で落ち着いた。だが、年末年始にまた上昇を繰り返し、再び1200ウォン台に上昇した。1月21日現在、為替レートは1194ウォン前後である。

 2020年3月に1296ウォンまで急騰し、韓国を危機に追い詰めたウォン安が安定したのは、韓国の危機克服能力が優れていたからではない。それは、ひとえに米国が支援した、600億ドル分の通貨スワップのおかげだ。文在寅政権は米国が提供した600億ドル分のうち、198億7200万ドルを実際に引き出し、5カ月間融通することで危機から抜け出した。

 2008年の世界金融危機の時も、韓国は米国の通貨スワップで命拾いしている。当時の韓国は、ウォン/ドル為替レートが1462ウォンまで暴騰するなど危機的な状況にあった。この時も、韓国は米国にスワップ支援を要請し、300億ドル分の通貨スワップのうちの163億5000万ドルを引き出した。この時のスワップ期間は1年半だった。

 2008年当時、日本、台湾、中国のドルに対するそれぞれの為替レートの変動幅は、2007年末対比10%以内の範囲で上下しただけだった。ところが、韓国だけはウォン/ドル為替レートが、2007年末対比60%以上の暴騰(ウォン安)だった。それだけ、韓国の経済および金融が、構造的に脆弱であるということなのだ。

 米国は、危機に直面した韓国を2008年と2020年の二度にわたって救出したが、1997年には救出しなかった。