(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 5月11日、ウクライナのマリャール国防次官は、2014年にロシアに占領されたクリミアおよびドネツィク・ルハンシクの東部ウクライナ地域を含めて、ロシアの侵攻を受けている地域を軍事的に奪還する可能性に言及しました。

 マリャール国防次官は、こう述べます。「この先、私たちはを待ち受けているのは、極めて困難かつ長く続く、国際的に認められた国境内の私たちの領土の完全な解放までの戦いの段階である」。

 これは、2月24日(今回の侵攻開始日)に「ロシア・ウクライナ両勢力が支配していた地域の線まで」と言っていた、これまでのゼレンスキー大統領の発言よりも踏み込んだ発言です。

 もし、大統領とマリャール国防次官の間で意思疎通ができていないのであれば、閣内不一致として非難されてもおかしくない発言でした。しかし、マリャール国防次官は原稿を確認しつつ慎重に発言していましたし、今のところ彼女を非難する動きは確認されていません。ウクライナ政府として、クリミア、東部ウクライナの軍事的奪還に言及した注目すべき発言だったと言えます。

 また、5月14日に報じられたところによると、ブダーノウ国防省情報総局局長も、8月後半以降に、クリミアとドンバスを含むウクライナの領土を完全に回復すると発言しており、両地域の奪還に言及しています。