人口50万の州の共和党員19万人の声

 11月に米国で実施される中間選挙に向け、西部ワイオミング州(人口58万人)で8月16日、共和党の下院候補(全区)を決める予備選挙(オープン・プライマリィ)*1が行われた。

*1=予備選挙には、政党に登録した人だけが参加できる「閉鎖型」予備選挙を実施する州と、支持政党の有無にかかわりなく、すべての有権者が参加できる「開放型」(「オープン・プライマリィ」)とがある。またアラスカ州のように「開放型」を実施、その結果上位4人が本選挙に臨める予備選もある。

 ワイオミング州は、人口では全米50位。共和党員数は19万6000人(有権者数の67%)で、党大会には29人の代議員しか出せない。

 その、ちっぽけな「レッド・ステート」(共和党支配州)の予備選だったが、全米の大きな関心を集めた。

 その理由はただ一つ。

 ドナルド・トランプ前大統領が、トランプ批判の急先鋒に立つリズ・チェイニー下院議員2に「刺客候補」を立て、追い落としを図ったからだ。

 そしてトランプ刺客が勝った。

ハリエット・ヘイグマン氏:10万4792票(65.7%)

リズ・チェイニー氏:4万7196票(29.6%)

(https://www.washingtonpost.com/elections/election-results/wyoming/2022-primaries/)

 トランプ氏は当初から親族や側近をワイオミング州に送り込み、刺客候補のハリエット・ヘイグマン氏の選挙運動にカネと人員を注ぎ込んだ。

*2=ディック・チェイニー元副大統領の長女で、ジョージ・W・ブッシュ政権下で国務副次官補(中近東担当)などを歴任した。2017年からワイオミング州選出の下院議員を3期務め、2019年からは下院共和党でナンバー3である共和党会議議長に選出された。共和党下院の執行部の一員でありながら、トランプ大統領の弾劾決議に2回にわたり賛成票を投じたため、トランプ支持者や共和党右派によって批判を受け、2021年5月には党内の内部対立が原因で党会議議長を解任された。