(福島 香織:ジャーナリスト)

 9月27日、安倍晋三元首相の国葬儀が日本武道館で行われた。6割の国民が反対しているとの報道もあったが、私の仕事場がある千代田区麹町の前まで、一般献花者の行列が延々と続いていた。四谷あたりまで続いていたらしい。つまり武道館まで7キロぐらい献花行列が続いており、多くの国民が熱い日差しの中、何時間待っても献花したいほどには安倍元首相を支持していたということだろう。

 この国葬儀について強い反対意見もあることは承知しているが、葬儀を国家行事として行うことの意義はあったと思う。

 最大の意義は弔問外交であり、インドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相といった安倍外交の遺産の1つであるQUAD(クアッド:日米豪印)メンバーの現役首相が参列したことは、その意義がある程度、達成されたといえるだろう。

台湾から3人が出席

 個人的に一番注目していたのは、台湾からの参列者が誰なのか、そして日本政府としてどのように対応するか、ということだった。

 残念ながら、この点について、日本政府は力不足であり、台湾の蔡英文・総統や蘇貞昌・行政院長(首相)クラスの首脳を招くことができなかった。これは台湾側の事情というより、日本側の姿勢の問題であったと仄聞している。

 台湾を代表する出席者は、蔡英文総統から指名されたのは蘇嘉全・台湾日本関係協会会長、王金平・元行政院長、謝長廷・駐日代表(大使)の3人だった。それでも、蘇嘉全、王金平両氏は民進党、国民党の実力者であり、謝長廷大使も含めて3人が国家行事に招かれ、各国代表が献花する際に国名を読み上げる「指名献花」で各国の最後に「台湾」の名前がアナウンスされたことは、日台関係のレベルを一段上に引き上げたのではないかと思う。