「ロックダウンのような手法のあり方についても検討すること」。新型コロナウイルス感染症の再拡大にあたり、都道府県知事で構成される「全国知事会」は2021年8月1日にとりまとめた政府に対する緊急提言の中でこのような文言を盛り込んだ。

感染者数の増大に歯止めがかからず、緊急事態宣言はもはやストッパーの役目を果たしているとは言えない。夏休みシーズンの8月、ロックダウンのように人々の外出を制限する手立てはあるのか。

「ロックダウンはなじまない」と菅首相

英国やフランスで実施されてきたロックダウンでは外出規制が課され、違反者への罰則金も設けられている。他方、日本では「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)に基づいた緊急事態宣言により、各地で外出自粛要請が発出されてきた。罰則規定は設けられておらず、あくまでも要請だ。

ただ、感染が拡大する中、知事会が提言したように、さらに強い措置を求める声が出ている。21年7月30日、参議院の議院運営委員会で、国民民主党の矢田わか子参院議員は、休業要請に応じていない飲食店の存在や、「コロナ慣れ」により若者の路上飲みが横行していることに触れ、「この特措法の措置だけでは、もう抑制力がない」と主張した。

菅義偉首相は21年7月30日の会見で、「日本において『ロックダウン』という手法はなじまない」との見解を示しており、罰則金を伴う外出規制の実施には否定的だ。新型コロナワクチンの接種体制の強化が「一番大事だと思っています」としている。

J-CASTトレンドは、東京都に住み、緊急事態宣言中でも夜間に飲み会や遊びに出ている人に取材した。

会社員の20代男性Aさん。まずは10万円以上の協力金を政府が支出し、「家から出ないでください」と国民への「誠意」を見せて要請するのであれば、外出自粛に応じるとした。

あるいは法改正を行い、外出に対して罰金を設け、警察が外出者の見回りを行うような徹底したロックダウンが実施されれば「さすがに家から出ません」とのことだ。

10代の男子大学生Bさんも、外出により罰金が課されるならやめると語った。「もしも前科が付くならば自粛します」とも。外出にあたり、「懲役1か月」といった罰が設けられれば、外出はしないとのことだ。

一方の20代男子大学生Cさんは、

「自粛の達成目標を定めてくれれば、外出はしません」

と語る。ワクチン接種数や感染者数の推移などを基準に、外出自粛期間の目標を定めてほしいというのだ。都の緊急事態宣言期間が長引いている中、「この時期まで我慢すると、イベント規制や自粛要請が緩和される」といった目に見えるゴールがあれば、自粛に協力すると話した。

外出制限は実現可能か

京都産業大学法学部の中山茂樹教授は、大学公式サイトの21年6月9日付の記事で、ロックダウンや憲法について解説している。日本の憲法は「移動の自由」や「集会の自由」といった基本的人権を保障している一方で、「正当な公共の利益を得る目的があれば、そのために必要かつ合理的な人権制限は認められ」ると指摘する。

国民の生命や健康を守るために、行政が外出制限などを含む強い規制を行うのは、「国会がそのような権限を行政に与える法律を定めれば可能」という。

ただ、人々の自由を強く制限したことで本当に目的の役に立つのか、権利を制限することで得られる「公共の利益」とのバランスはとれているかといった点で、国民への説明や議論、法律の内容の「厳しい吟味」が必要になる。「大規模な人権制限を政策的選択肢とするだけの立憲国家としての準備が日本にあるのかが問題となる」とした。