新型コロナウイルスのオミクロン株が世界各国に広がっている。特に南アフリカ共和国では猛烈なスピードで感染者が増えている。各国からの2021年12月3日現在の情報によると、オミクロン株はワクチンをすり抜ける、過去に感染した人も再び感染する、などが次第に明らかになっている。

しかしながら、今のところ重症者や死者の報告はないとされ、無症状や軽症者が多い。

ワクチンや過去の感染をすり抜ける

NHKが12月3日午前3時半時点でまとめたところ、オミクロン株の感染は、日本を含め世界の32の国と地域で確認されている。

日本テレビによると、南アフリカでは12月2日に1日の感染者が1万1000人台に。陽性反応が出た検体の74%がオミクロン株だった。先月中旬には新規感染者が100人台の日もあったので、急増だ。

日経新聞によると、南アフリカ国立感染症研究所のアン・フォン・ゴットバーグ教授は12月2日、「過去の感染歴はデルタ型への予防になったが、オミクロン型についてはそうではなさそうだ」と語り、ワクチンや過去の感染による免疫をすり抜けるために、感染者が増えている可能性を指摘した。

AFP=時事によると、南アフリカの研究チームは2日、オミクロン株の再感染リスクを「デルタ株」や「ベータ株」の3倍とする査読前論文(プレプリント)を公表した。

米国で確認された2例目の感染者は過去にワクチン接種し、11月上旬にはブースター接種も受けていたという。

欧州、アフリカ、韓国でも「軽症」

一方で、オミクロン株の感染者の症状が軽い、という報道も続いている。

NHKによると、ECDC(欧州疾病予防管理センター)は、11月30日、EU(欧州連合)の域内で感染が確認された11か国の44人に、重症や死亡の報告はなく、把握している範囲で全員が軽症か無症状だと明らかにしている。また、アフリカ南部ボツワナでは、保健当局の高官が12月1日、ロイター通信のインタビューに対し、19人の感染者のうち、16人は無症状で、3人は極めて軽い症状だと説明している。

韓国でもオミクロン株への感染が確認された5人について、保健当局は2日、4人が無症状で、1人が微熱の軽症だと明らかにした。

無症状の人のなかには、当初、頭痛や微熱、のどの痛みなどの症状があったものの、その後、症状が改善して無症状になった人もいるという。

ブルームバーグによると、オーストラリア政府のケリー首席医務官は1日、オミクロン株が他の株と比べて致死性が高いことを示す証拠はなく、実際はその反対かもしれないとの認識を示した。「多くの国で300を超える感染例が診断されているが、全てが非常に軽症か症状が全くなかった」と指摘している。

味覚・嗅覚の喪失はない

オミクロン株の感染者の症状が比較的軽いということは、南アの医療関係者が当初から強調している。TBSは11月29日、「症状のほとんどは、1日か2日続く強い疲労感、その後、頭痛や体の痛みです」という南アフリカ医師会 コエツィ会長のコメントを報じている。

同会長は、「今のところは」と前置きしたうえで、重症患者は出ていないとして、この段階でパニックになる必要はないと述べ、南アフリカなどアフリカ南部諸国からの渡航を禁止する国が相次いでいることについて「釣り合わない対応だ」と苦言を呈していた。

同会長は、症状は倦(けん)怠感や頭痛、体の痛み、まれに喉の痛みや咳であり、血中酸素濃度の低下や味覚・嗅覚の喪失といったデルタ株の症状とは違っていたと語っている。

NHKによると、オミクロン株による症状の程度などについて、WHO(世界保健機関)は「まだ詳しくはわかっていない」とする一方、「数週間と言わず、今後数日でより多くの情報が得られる」との見通しを示している。

日本の医療関係者の間では、今のところ重症者は確認されていないとはいえ、今後、感染が急拡大し、感染者数が増えると、一定の割合で重症者も出てくるので、警戒を緩めるべきではない、との声もある。

ブルームバーグも11月30日、「重症度について何らかの発言をするのは時期尚早だ。新型コロナ感染症で重症化する人は20%にすぎず、疫学的研究が必要だ。また、入院と集中治療室への収容は発症から遅れる。通常、発症後1週間は軽い症状の状態にある」というニューサウスウェールズ大学(シドニー)のライナ・マッキンタイア教授(バイオセキュリティー)の見方を伝えている。