北海道旭川市の公園で2021年3月、いじめを受けていた中学2年広瀬爽彩さん=当時(14)=が凍死状態で見つかった問題で、市の再調査委員会(尾木直樹委員長)は30日、「いじめ被害が存在しなければ、自殺は起こらなかった」として、いじめが自殺の主な原因だった可能性が高いとする再調査結果を市に報告した。市教育委員会の第三者委員会は22年9月、いじめと自殺の因果関係について「不明」としていた。

 再調査委は、広瀬さんのSNSへの投稿などから「いじめ被害が過去のものとはならず、継続して当該生徒を苦しめた」と分析。いじめに起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、長期にわたって症状が繰り返された結果、「恐怖感情、自責感、自尊感情の著しい低下、孤立無援感などが続いた」と指摘し、自殺につながった可能性が高いと結論付けた。

 第三者委は、広瀬さんが上級生ら7人から性的な動画を送信するよう要求されるなど6件のいじめを受けていたと認定していた。再調査委は、これらに加え、広瀬さんが中学校の同じクラス内で受けていた行為を新たにいじめと認めた。

 弁護士の野村武司副委員長は報告後の記者会見で、「クラスでのいじめが孤立感を生み、クラスの外の人間関係に依存していく大きな要因になった」と述べた。学校や市教委については、「いじめではなく加害生徒による問題行動として捉え、いじめの認知、対処を怠った」などと非難した。