政府は、中国軍が台湾周辺で大規模な軍事演習を始めたことに警戒感を強めている。外交ルートを通じて懸念を伝達。台湾で頼清徳総統が就任した直後の露骨な「圧力」が、近く開催を調整中の日中首脳会談に影響する可能性を指摘する声もある。

 林芳正官房長官は23日の記者会見で、演習に対する直接の言及を避けつつ、台湾問題の「対話による平和的解決を期待するのがわが国の一貫した立場だ」と強調。政府関係者は「新総統就任から間髪入れずに圧力をかけてきた」と身構えた。

 岸田文雄首相は、ソウルで26、27両日に開催される日中韓首脳会談(サミット)に合わせ、中国の李強首相と会談する方向。台湾問題も取り上げる構えだ。これに関し、林氏は「台湾海峡の平和と安定の重要性について、引き続き中国側に直接伝える」と述べた。

 会談ではまた、中国による日本産水産物の輸入規制撤廃を求める方針。「戦略的互恵関係」の推進も確認したい考えだが、外務省幹部は「このタイミングで演習があると、日中関係の改善に水を差される」と漏らした。