霜降り明星、EXIT、ハナコ、3時のヒロインなど、テレビで観ない日はない“お笑い第7世代”の芸人たち。バラエティ番組に留まらず、CMや役者業などその活躍は多岐にわたる。

ここ数年、芸能界を席巻し続けてきた彼・彼女らだが、“逆風”も強まりつつある。ニュースで第7世代が取り上げられると、SNSやニュースサイトでは好意的なコメントの裏で「面白いと思ったことはない」「ブームが去ったら仕事がなくなる」といった“実力不足”を指摘する声も少なくない。

実際、7月14日に「文春オンライン」で四千頭身・後藤拓実(24)の熱愛が報じられると、ニュースサイトでは《ホント良いブームに巻き込まれたよな》《今はね、勢いがあるようにみえるからモテるでしょう》といった辛辣なコメントばかりが並んでいた。

果たして、第7世代は本当に“実力不足”なのかーー。そこで先日、『お笑い世代論〜ドリフから霜降り明星まで〜』(光文社新書)も上梓したお笑い評論家のラリー遠田氏に話を聞いた。

2018年の『M-1グランプリ』での優勝後、霜降り明星のせいや(28)がラジオで「第7世代」と発言したことをきっかけに広がっていったといわれている“第7世代ブーム”。ラリー氏は「一時期の勢いはなくなってきている」と前置きしたうえで、まず“反動”があると推測する。

「一時期ブームになりすぎて、“第7世代”と名のついた特番や番組がやたらと増えて、それで“第7世代はもういいよ”みたいに食傷気味になった人はいるでしょう。うんざりしていた人たちが、ブームが過ぎて第7世代の勢いが落ちてきたところで、批判的な声をあげ始めた気がします」

そして、第7世代に反感を抱く大きな原因として世代間の“溝”をあげる。

「ニュースサイトにコメントしている人は中高年の人が中心なイメージ。恐らくその世代の人が薄々思っている第7世代への違和感や反感がコメントに出たのでしょう。一般的に歳をとるほど頭が硬くなっていく人が多い。お笑いでも新しいものを受け入れられなくなるので、大体の人は“自分より若い世代のお笑いってなんかよくわからない”となっていくわけです」

第7世代ならではの“スタイル”も距離感を感じる原因になっているようだ。

「昔は、テレビに出て有名になって、金持ちになって女遊びをするといった成功モデルを目指してこそ芸人、みたいな風潮がありました。しかし、最近の世代はそうしたことに執着がない。

テレビはテレビで面白いことやりたいし、YouTubeでもテレビではできない面白いことやっていけばいい、というように考え方がフラットなんです。霜降り、EXITや四千頭身もこのようなスタンスでYouTubeでも新しい世代のファンを獲得している。ただ、年配の人からするとそうした部分が“自分たちにはついていけない”となるのではないでしょうか」

元号が平成から令和に変わったことで、日々、様々な価値観が更新している。その流れで、旧来の価値観と新しい価値観が衝突することも少なくないだろう。そうした“古い価値観”に対する第7世代の“好戦的”な態度も断絶を生む要因になっていると、ラリー氏はみる。

「例えばネタ中にポケモンの話を入れたりと、同世代の人は笑うけど、上の世代の人はわからないから笑えないといった、自分たちの世代に訴えることをわざと言ったりしますよね。EXITの兼近大樹さん(30)はワイドショーで、上の世代の人に『ドラゴンボール』で喩えられても『読んだことないんでピンとこないんす』みたいな。坂上忍さん(54)に『付き合っている人いるの?』と聞かれて、『私とアンタの関係性で教えるわけないじゃん』と発言したフワちゃんもそうですよね。

“この世代はこうなんで、それがわからなかったらもう古いです”といった挑発的な言動を意図的に、半分冗談、半分本気でやっているような。だから、そういう風に新しい価値観、感性やカルチャーを第7世代の芸人がテレビとかに持ち込んだりアピールしているわけです。なので、上の世代からすると、自分の価値観を否定されたような気になるのでしょうし、そこで結構、断絶が生まれているのだと思います」

そして、肝心の“実力”について「好みの違いはある」としつつもラリー氏は、第7世代ならではの持ち味にこう太鼓判を押す。

「第7世代が昔ながらのお笑いができないかというと、そんなことは決してないわけです。霜降り明星はM1で優勝していますし、2人とも器用でお笑いの実力もある。昔からのお笑いの価値観もおさえた上での新しい感覚も持ってるってことだから強いのだと思います。

EXITも似ていますよね。今でこそ兼近さんはオピニオンリーダー的な側面も強いですけど、いっぽうでネタにもきちんと取り組んでいる。あと彼らはお笑い愛があって、お笑い業界を盛り上げたいという思いも強い。そのために、芸人としてはダサいと思われてしまいがちなアイドルみたいなことなどをあえてやることで、今までお笑いに興味のなかったお客さんを獲得している。結構新しい試みをやっているわけです。総じて、第7世代の芸人は柔軟なのだと思います。

昔は、お笑いだけやってればいいんだよっていう時代だったのが、今はテレビだけじゃないし、お笑いだけじゃないわけです。広い視野で見て、お笑いが好きだからこそ、盛り上げるためにできることを様々なメディアを使ってやっていかなきゃいけないっていう、そういう意識は多分それぞれあるのだと思います」

とはいえ小康状態になりつつある、第7世代のブーム。しかしラリー氏はブームが“終焉”したわけではないと言う。

「これまで兼近さんやフワちゃんがなにか言っても“ちょっと変わった若者の意見”と思われていましたが、今ではもう年々当たり前になってきていますよね。だから、それはブームが終わったわけじゃなくて、ブームが定着してもう常識になっているというか。どんどん、そうなっていくのだと思います」

果たして、5年、10年後も第一線に立ち続けている第7世代の芸人はーー。