夏から秋への季節の変わり目となる9月。広告業界にとっても変化の月となり、9月から新たなテレビCMが続々と放映されている。なかでも、過去に人気ドラマで共演した俳優同士のCMでの“再タッグ”が、注目を集めている。

1日から放映されたUQモバイルの新CM「UQUEEN」の第1弾「登場」篇では、気高い女王に扮した満島ひかり(35)と執事に扮した松田龍平(38)の掛け合いが好評だ。約5年にわたって放送された深田恭子(38)や多部未華子(32)ら出演の「仲良し3姉妹シリーズ」に替わる新シリーズとして今後の展開にも期待が高まっている。

松田と満島といえば、'17年1月期に放送された『カルテット』(TBS系)で、メインキャストを演じた2人。松田は第2ヴァイオリン奏者・別府司を、満島はチェロ奏者・世吹すずめを好演した。別府に思いを寄せるすずめの恋模様やユーモラスな2人の掛け合いから、劇中でもとりわけファン人気の高い役柄だった。

ドラマでの設定とは異なるが、これらの関係性から新CMに『カルテット』を想起する視聴者もおりTwitter上では歓喜の声が広がっている。

《UQモバイルのCM、司くんとすずめちゃん出てるじゃん、ヤバいよ〜》 《大好きな組み合わせのふたりじゃないか?(すずめちゃん風に)》

UQモバイルだけでなく、同じようなパターンは他企業の新CMでも見受けられる。

キリンビールでは13日から、新CM「スプリングバレー 感動体験篇 長谷川さん染谷さん」がスタート。今年2月に終了したNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で主人公・明智光秀を演じた長谷川博己(44)と、織田信長を好演した染谷将太(29)が再共演。最終回の本能寺の変では対立した2人が、CM内で仲良くビールを飲む“令和での再会”は話題を呼んだ。

また17日から放映されたアフラック「しっかり頼れる介護保険」の新CMシリーズ「おじいちゃん子」篇と「お金の負担」篇では、吉田羊と奥平大兼(17)が再び親子を演じている。昨年10月期に放送された『恋する母たち』(TBS系)ではぎこちない親子を演じていた吉田と奥平だが、本CMでは介護を通じて心温まる関係性が描かれている。



■背景にはSNSの急激な発達が関係

人気ドラマで共演した俳優たちがCMで再共演するパターンが増加する背景には、どんな意味が込められているのだろうか?その背景についてCM総合研究所に取材を申し込むと、広報部を通じて回答があった。

同研究所によると「この傾向は今年に限ったものではない」としつつ、SNSの発達ともに増えていると指摘する。

「ここ10数年でスマホが普及したとともに、TwitterをはじめとするSNSが急激に発達しました。そのため話題が拡散しやすい情報環境が背景にあると思われます」(以降、カッコ内は全てCM総合研究所広報部)

'18年度後期のNHK連続テレビ小説『まんぷく』で主人公の母・今井鈴を演じた松坂慶子(69)は、ドラマ終了から2カ月後に日清食品の袋麺シリーズ「愛されて三世代」篇のCMで祖母役に抜擢。「まんぷく」で鈴の孫を演じた深川麻衣(30)や二宮輝生(14)らと再共演を果たした。

さらに珍しい例では、'20年10月期の『共演NG』(テレビ東京系)で“異例”となる競合スポンサーの共演が実現。ドラマのストーリーに沿った“テレビ業界のタブー”を逆手に取り、キリンビールとサントリー2社が同時にクレジットされたのだ。さらに最終回の放送日には、両社ともTwitterの公式アカウントで《アノ企業と、乾杯〜!!》と呟いたことも大きな話題となった。

そこには人気ドラマの影響力を上手に活用したいという企業の戦略が見え隠れしている。

「人気ドラマに出演した複数のタレントがCMで再共演する、あるいはドラマを連想させる役柄でCMに登場すると、ドラマやタレントのファンに強い印象を与え注目度が高まりやすくなります。またCMの露出にとどまらず、情報番組などでも取り上げられるチャンスが多くなります。

タレントだけでなく広告に対してもドラマファンの視聴者に好印象を与える可能性が高く、非常に有効な宣伝方法のひとつとして捉えているのではないでしょうか」

SNSでの話題性を狙った企業のテレビCM。果たして、ドラマを超えて共演する次の俳優は――。