「最初の緊急事態宣言発出から1年以上がたち、ストレスがたまっている人が増えています。日々の習慣や考え方の工夫ひとつで、心穏やかに過ごせるようにもなります。なかでも、夜寝る前の過ごし方はとても大切です」

そう教えてくれたのは、明治大学教授で心理言語学者の堀田秀吾先生。

長引くコロナ禍で、特に増えているのは「セロトニン不足」に陥る人だそう。脳内の神経伝達物質のセロトニンは、喜びや快楽などの感情を調整するドーパミンや、驚きや恐怖などの感情を調節するノルアドレナリンなどの情報をコントロールして、精神を安定させる働きをする。セロトニンが不足すると、ドーパミンやノルアドレナリンのバランスが崩れ、攻撃的になったり、不安やうつ、パニック障害などの症状を引き起こす要因になってしまうという。

「セロトニンの分泌には日光を浴びる、軽い運動をする、規則正しい生活をすることなどが大切。しかし、現在は外出や運動をする機会が減少し、睡眠が不規則になったという人が急増しました。人とのコミュニケーションも不足し、テレワークによりオン・オフの切り替えもしにくいなど、うつ傾向を招くリスク要因がいくつもあるのです」(堀田先生・以下同)

そこで今回堀田先生に解説してもらったのは、おやすみ前の行動習慣によってストレスを軽減し、鬱々とした状況を打破するためのルール。いずれも科学的な研究結果に裏づけられたものだ。すぐ取り入れられる行動なので、ぜひ心がけてみよう。

■SNSの使用は30分以内にとどめる

SNSの使いすぎに注意すれば、孤独感の解消やうつを抑制し、心に幸福感や安定感を与えるという。学生を対象に3週間行った実験では、SNSの使用を1日10分に限定したグループは、いつもどおり制限なく利用したグループにくらべて、孤独感やうつ、不安を抑制する大きな効果が見られた。(ペンシルベニア大学・ハントらの研究)

人は不安になると、不安解消のために誰かを攻撃することで心のバランスを保つ「防衛機制」が発動されるという。

「特に40代以降の中年層は『正しいことを言ってやらねば』と思うがあまり、SNSで過激な発言をしやすい傾向も。長時間使い続けるのは好ましくありません」

■不安を紙に書き出す

不安はあえて紙に書き出すと不安解消に効果的。4日間、1日15分トラウマや悩みを書くグループと、その日にしたことなど普通のトピックスを書くグループに分け経過観察をすると、ネガティブなことを書いたグループが長期的には免疫、自律神経、精神的な苦痛の改善が見られた。(南メソジスト大学・ペネベーカーらの研究)

「不安をそのままにしていると脳内の大脳辺縁系で不安が湧いたままですが、書き出すことで前頭葉を使い、不安が取り除かれます」

■過度のアルコール摂取を控える

ストレスがたまり、やけ酒をすると嫌な記憶や気持ちがかえって強くなることが判明している。電気ショックを与えたねずみにアルコールを注射して行動観察をすると、電気ショックへの恐怖を強め、臆病になったという。過度な飲酒は嫌な気持ちが増幅し、嫌な記憶を消す能力も下がるため注意が必要。(東京大学大学院・野村・松木の研究)

「アルコールを摂取しすぎると、嫌な気持ちが増幅して、嫌な記憶を消す能力が下がります。もちろん缶ビール1〜2本ほどの適度な飲酒なら、新たな考え方を思いつくなどメリットもあるため、気持ちの切り替えにオススメです」

嫌な気持ちをお酒でごまかしても、何の解決にもならないのだ。

規則正しい生活は心身にプラスの影響をもたらす。そのためには、自分で「環境」「状況」を作り出さねばならないと堀田先生は話す。

「夜中にお菓子を食べてしまうなら、お菓子を家に置かない。スマホを使い続けてしまうなら、時間を決めて電源を切る。規則正しい生活を送れるよう、自分でルーティンを作りましょう」

「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載