新型コロナの感染拡大から丸3年。生活必需品となったマスクは商品開発が進み、耳の痛みや不快感は軽減されたが、こもる臭いの悩みはなかなか解消されない。

「マスク口臭には、重曹が効果的です」

そう話すのは倉本歯科医院院長の倉本弘樹先生だ。同院の患者にも口腔内の衛生ケアの一環として、重曹の活用をすすめているという。

重曹は口腔内で、どんな働きをするのだろう。

「口腔内は本来中性ですが、食後などに酸性に傾くことがあります」(倉本先生・以下同)

酸性・アルカリ性を数字で示す㏗でいうと、本来の口腔内は㏗7前後の中性だ。食後などに㏗6.6以下の酸性になると、口腔内にすむ悪玉菌が繁殖を始め、口腔環境が乱れる。これが口臭の一因だ。

「そんなとき弱アルカリ性の重曹を口に含むと、口腔内を中性、アルカリ性へと変える手助けになります」

倉本先生によると重曹そのものは、㏗8.2程度の弱アルカリ性だから、重曹を水に溶かしたうがい液でうがいをすると、穏やかに中和され、口腔環境を改善していくというのだ。

倉本先生おすすめの重曹うがい液は、500mlのペットボトルに水道水と小さじ1杯ほどの重曹を入れて、よく振ったらできあがり。

「重曹は、必ず食用を選んでください。掃除などに使う工業用重曹は、不純物が入っていることがあるので避けましょう。また、水はミネラルウオーターだと保存がきかないことがあるので、水道水を使ってください」



■ただの口臭でなく病気が隠れていることも

うがい液は1回約20mlと少量でよいそう。口に含んでブクブクうがいをしよう。

「うがい液は少量のほうが、頰の筋肉をしっかり動かすブクブクうがいがやりやすいです。ブクブクうがいの後に、ガラガラうがいも行うと、口腔内の隅々までうがい液がいきわたって、さらに効果的でしょう」

うがいはいつするの?

「三食の後に行うのが基本です。でも、起床後や就寝前、口臭が気になるときなど、1日に何度行っても大丈夫。食用重曹は“食べ物”ですから、胃に入ったとしても問題ありません。安心して『臭いが気になったら重曹うがい』を続けてみてください」

うがい液は常温保存で、3〜4日で使い切れる量を用意しよう。使うたびに、よく振ることを忘れずに。

「洗面所などの目につくところに置いておくと、習慣化しやすいと思います」

ただし、重曹うがいでは改善できない口臭もある。

「虫歯や歯周病がひどい人は口臭が発生します。定期的に歯科医院でメンテナンスしてください」

歯磨きやフロス、歯間ブラシでの毎日のケアも大切にしたい。また、内臓の病気が原因の口臭もある。重曹うがいで改善が見られない場合は、健康診断などでチェックしてみよう。重曹うがいは、マスク口臭はもちろん、虫歯や歯周病などの予防にも効果がある。毎日の生活に組み込んで、口腔ケアに励もう。